短時間労働者に対する社会保険適用範囲の拡大-2016年10月1日より
(1)月額報酬8.8万円以上に含まれるのは?
ここでいうところの月額報酬8.8万円は、標準報酬月額を考える際の報酬の範囲と異なるので注意が必要です。
月額報酬8.8万円を判断する場合、報酬の範囲から以下のものは除くとされています。
- 臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 所定時間外労働または所定休日労働に対して支払われる賃金、および深夜労働に対して支払われる賃金のうち割増賃金分
- 最低賃金法において算入しないと定められている精皆勤手当や通勤手当、家族手当など
残業代や通勤手当を除いて判断するという点に注意が必要です。
(2)1年以上雇用される見込みであることとは?
雇用契約書等で雇用期間が1年以上である場合や雇用期間の定めがない場合は、1年以上雇用される見込みであるものとして取り扱われます。
では、雇用契約を1年未満に設定すれば適用対象外となるのかですが、適用対象外と取り扱うためには以下の二つの要件を満たす必要があります。
- 雇用契約書などの書面において契約更新される旨、またはその可能性がある旨が明示されていないこと
- その事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている者について、更新等により1年以上雇用された実績がないこと。
したがって、雇用契約書等で契約が更新されることがあるとされていると、それだけで適用範囲から除外されないこととなります。また、実態として過去において同様の契約で1年以上雇用された労働者がいる場合にも適用対象外とはなりません。
(3)常時500人超の判断単位は?
一般被保険者の数が常時500人超であるかどうかについては、適用事業所単位ではなく法人単位の人数で判断することとされています。
そして、500人を超える月が1年のうち6月以上あると見込まれる場合、事業主は「特定適用事業所該当届」を年金事務所または事務センターに提出するとともに、各適用事業所では短時間被保険者の資格取得届を提出する必要があります。
今回の改正が、企業側の雇用にどのような影響を及ぼしていくのかに注目です。従来からありますが、フルタイムパートというフルタイムなのかパートなのか意味不明な処遇の労働者が増加しそうな気がするのは私だけでしょうか。