閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

高額特定資産とは何ですか?(その4)-平成28年度税制改正

前回まで平成22年度税制改正から消費税法の改正の経緯を確認してきましたが、今回は平成28年度税制改正により創設された高額特定資産について確認します。

1.高額特定資産とは?

「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が 1,000 万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます(国税庁 消費税法改正のお知らせ 平成28年4月)。

「高額特定資産」とはなんですか?(その1)-平成22年改正から確認”で確認しましたが、調整対象資産は大雑把にいうと取得価額が100万円以上の固定資産を意味します。これと比較すると、高額特定資産には棚卸資産が含まれることと、金額の基準が1000万円以上と調整対象固定資産に対してリーズナブルな水準に設定されています。

なお、資産が高額特定資産に該当するかどうかを判定する場合における「課税仕入れに係る支払対価の額」とは当該資産に係る支払対価の額をいい、当該資産の購入のために要する引取運賃、荷役費等又は当該資産を事業の用に供するために必要な課税仕入れに係る支払対価の額は含まれないとされています(消基通1-5-24)。

変に気を利かせて付随費用を含めて判定してしまうと取扱いを誤ることとなりますので、注意が必要です。

2.この改正が行われたのは何故か

平成28年度改正がなされた理由について、税理士の熊王征秀氏は、そもそも取得資産が棚卸資産であれば、どんなに高額な資産であっても22年度改正法は適用されないことに加え、「抜け穴だらけの22年度改正の隙間をつくように、次の①~④のような節税スキームが横行したことが、28年度改正に繋がったものと思われる」(T&A master No.660 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例(3))と述べられ、以下のようなスキームが紹介されていました。

①建物などの高額な棚卸資産を取得し、本則課税により消費税の還付を受けた期の翌期に資産を売却し、簡易課税制度の適用を受けるような事例
②課税事業者の強制適用期間を経過してから固定資産を取得することにより、その翌期は免税事業者や簡易課税適用時業者となるような事例
③資本金1,000万円以上の法人を設立し、基準期間がない事業年度を経過してから固定資産を取得することにより、その翌期は免税事業者や簡易課税適用事業者となるような事例
④特定期間中の課税売上高と給与等の支払額のいずれかが1,000万円を超える場合には、課税事業者を選択せずとも課税事業者となることができる、結果、課税事業者届出書(特定期間用)を提出して課税事業者となり、固定資産を取得しても、いわゆる「3年縛り」の規定は適用されないため、その翌期は免税事業者や簡易課税適用事業者となるような事例

①は棚卸資産はそもそも対象外なので問題ないと思います。②については、調整対象固定資産を取得すると3年間免税事業者や簡易課税の選択はできなくなのでは?と考えてしまいそうですが、調整対象固定資産を取得した場合に免税事業者等を選択できなくなるのは以下の場合となっています。

h22_ctax
(出典「消費税改正のお知らせ」 平成22年4月税務署)

つまり、課税期間の初日から2年を開始する日までの間に開始した課税期間を超えれば、要件を満たしていれば免税事業者となることも簡易課税を選択することも可能となります。したがって、上記のように強制適用期間を超過していれば、その翌期に免税事業者となることも可能ということになります。

③も上記の要件において「新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる書く課税期間中に」とありますので、この期間を超えさえすれば、対象外ということになります。

④は個人的にそうなんだと改めて認識しましたが、確かに平成23年度改正による特定期間による課税事業者の判定は、要件を満たせば課税事業者となる他なく、課税事業者を選択しているわけではありませんので、届出を提出することにより簡易課税の選択も可能となるということになっています。

3.高額特定資産を取得するとどうなる?

本則課税の適用期間中に高額特定資産の仕入等を行った場合、平成22年度税制改正の適用を受けない場合であっても、いわゆる「3年縛り」が強制されることとされました(改正消費税法12条の4、37条3項)。

なお、高額特定資産を取得したことにより本則課税が強制される期間内に、当該高額特定資産を廃棄、売却等により処分したとしても、上記規定は継続して適用されることとされています(消基通1-5-22の2)。

高額特定資産を取得したことにより本則課税が強制されることとなった場合で、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった場合には、「高額特定資産の取得に係る課税事業者である旨の届出書」を提出することが必要となります。

この他、「簡易課税制度選択届出書」や「課税事業者選択不適用届出書」を提出した後で、高額特定資産を取得したような場合、これら届出書の提出はなかったものとみなされます(消費税法37条4項、9条7項)。

4.適用時期

上記の改正は、平成28年4月1日以後に取得した高額特定資産について適用されるとされています。ただし、平成27年12月31日までに締結した契約に基づく高額特定資産であれば、平成28年4月1日以後に取得した場合であっても改正法は適用されないとされています(改正消費税法附則32条1項、2項)。

関連記事

  1. 電子取引制度対象の請求書等を出力保存した場合、「やむを得ない理由…

  2. 2019年10月1日0時で消費税率を厳格に変更必要か?

  3. 仮想通貨の消費税の取扱い-平成29年度税制改正

  4. 自動車保険の免責部分は消費税の課税対象?(追記)

  5. 消費税「総額表示義務の特例」とは?

  6. マイカー通勤手当と消費税




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,946,904 アクセス
ページ上部へ戻る