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信託方式の有償ストック・オプションが登場

T&A master No667で信託方式の有償ストック・オプションというものが登場しているという記事が掲載されていました。

この記事では(株)IDOMが2016年10月13日に公表した「第三者割当による新株予約権の発行及び時価発行新株予約権信託の導入に関するお知らせ」をベースに簡単な仕組みが解説されていました。

(株)IDOMというと聞き慣れない社名かもしれませんが、旧会社名は中古車販売で有名な(株)ガリバーインターナショナルです。

同社の上記適時開示資料では、インセンティブプランの概要が以下のように図示されています。なお、この有償ストック・オプションは「当社役職員のモチベーションの維持・向上を図るとともに中長期的な企業価値向上へのインセンティブを付与することを目的」とするとされています。

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委託者は同社の名誉会長で、受託者は同社の顧問税理士である税理士法人の代表者となっています。委託者と受託者が信託契約を締結し、委託者が受託者に金銭を信託します(上記①)。
信託契約の受託者が信託銀行ではなく個人であるのが珍しいと感じましたが、同社の開示資料によると「本インセンティブプランでは、本受託者である萩原氏の厚意により、受託に際して信託報酬が生じない民事信託が採用されております。営利を目的とする業としての信託(商事信託)ではない民事信託では、信託銀行又は信託会社以外でも受託者となることが許容されており、信託報酬が生じない点などにおいてインセンティブプラン全体に要するコストを一般的に安価に収めることが可能となります。」と説明されています。

会社は上記で委託された金銭を原資として新株予約権を受託者に割当、受託者は会社に有償ストックオプションの対価を払い込みます(上記②)。

会社の役職員は、人事評価期間中の会社への貢献度に応じて、交付ガイドラインに基づき、本新株予約権を交付する際の個数の基準となるインセンティブパッケージ又はポイントを取得します(上記③)。

信託期間満了時に、受益者が確定するとともに、本新株予約権のうち、第一次候補者(その時点における経営幹部に相当する者)に対してインセンティブパッケージを基準に最終的に交付されるものの数量、及び、第一次候補者でない当社役職員に対して付与されたポイント数に比例して交付されるものの数量が確定し、これに従って、本受託者が保管していた本新株予約権が受益者に分配されます(上記④)。

上記①で信託される金銭の額は約21.6億円となっています。新株予約権の行使価格はすべて720円です。ちなみに2016年12月7日の同社の株価は609円であり、約20%の株価上昇がなければ行使するメリットはありません。

なお、新株予約権は第4回、第5回に分けて発行されるとされていますが、第4回の行使条件は「平成 30 年2月期に、今後の景気動向や市場環境等でたとえ業績が下振れした場合であっても、少なくとも平成 30 年2月期以前 10 期間における最高益を果たす利益水準に達しなければ全く行使できない」(連結営業利益が100億円超で90%行使可)設計であり、第5回は「中期経営計画に掲げる平成 32 年2月期の利益目標も参考に、平成 33 年2月期に少なくとも当期(平成 29 年2月期)の連結営業利益計画 76 億円と比べ 163.2%増と大幅な増益となる 200 億円を達成しなければ全く行使できないように設定されており、かつ、その全部を行使するためには平成32 年2月期の利益目標を上回る利益水準を達成しなければならない」(連結営業利益が200億円超で70%行使可)とされていますので、行使のためのハードルは高めに設定されています。

この仕組みの「最大のポイントは、オーナー個人が信託の委託者となって金銭を信託するという点にある。金銭を拠出するのがオーナー個人である以上、有償ストックオプションのように、会社の費用に計上という話が出てくることはない」(T&A master No667)とのことです。

上記のとおり行使条件は厳しめの設定なので全く行使できずに終わるということもあり得ますが、元々オーナーはポケットマネーで給料を払っているようなものなので、拠出者自身には基本的に何も残りません(自身で株を保有していれば株価上昇による効果は期待できますが・・・)。

太っ腹なオーナーもいるのだなと思いましたが、結果的にオーナー一族が大部分の新株予約権を取得することとなる場合には、うまい具合に相続対策になったりするのかも知れません。

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