社外取締役の年間報酬平均額に大きな変動無し(労政時報2016年調査)
労政時報の第3922号に「2016年役員報酬・賞与等の最新実態」が掲載されていました。毎年この時期に調査結果が掲載されていますが、コーポレートガバナンスコードの導入以降、注目されている社外取締役の平均報酬額は669万円で分布の中位数は600万円であったとされています。
なお、2015年の調査結果では平均値が674万円、中位数が600万円となっていましたので傾向に大きな変動はありません。上記の調査は上場企業と上場企業に匹敵する非上場企業のうち回答のあった119社の平均値となっています。また、2015年の調査結果も調査対象は同様で回答数が116社でしたので、当該調査に協力している会社はあまり変動していないものと推測されます。
社外取締役の選任状況は2015年が87.8%であったのに対して、2016年は93.3%とされています。回答者数自体があまり多くないので、社数の変動に対して割合が大きく動くという面はあるものの選任の増加傾向は窺えます。
また、社長の年間報酬の平均額は4,645万円とされていますが、従業員規模別にみると、従業員数が1,000人以上では6,471万円に対して、従業員数が300人未満の会社では3,278万円と2倍近い開きがあるという結果が報告されていました。ちなみに2015年の調査結果では社長の年間報酬の平均額は4,988万円とされていましたので、約7%の減少となっています。規模別の昨年の平均報酬は従業員1000人以上が6,458万円、300人未満が3,924万円とされていましたので、この調査結果からは、大規模な会社での変動はあまりない一方で、小規模の会社での平均報酬額の減少が顕著となっています。
最後に2016年の調査では常勤役員について定年制が設けられているかどうかについても調査されており、常勤役員に定年制を設けている割合は49.6%であったとされています。会社の規模別にみると大規模な会社ほど常勤役員に定年制が設けられている割合が高くなっており、逆に従業員数が300人未満会社で常勤役員に定年を設けているのは20.9%にとどまっています。これはイメージどおりの結果ではないかと思います。
常勤役員に定年制を設けている場合の定年年齢は、会長が70歳、他の役位は65歳が最多であったとされています。大企業であれば、後進に道を譲るという意味で65歳で定年というのも理解できなくはありませんが、個人的には一般従業員の定年はそのうち70歳に引き上げられるのではないかと考えていますので、本当に能力があるのであれば50歳でも70歳でも特に構わないように感じます。
とはいえ、ファーストリテイリング、ソフトバンク、スズキなどオーナー色の強い会社ほど後継者で苦しんでいるように見受けられますので、企業規模の大小よりもオーナー色が強いほど定年を設定して後継者育成に真面目に取り組む必要があるのではないかという気がします。