17年1月1日施行の育児介護休業法改正内容を確認(その1)
今年4月に”雇用保険法等の改正(平成28年)-その2”でざっと改正内容は確認しましたが、施行日まであと1カ月となりましたので、改めて2017年1月1日から施行される育児介護休業法の改正内容を確認します。
今回の改正はどちらかといえば介護休業の改正内容がメインといえる改正となっています。
1.介護休業関連の改正内容
介護休業法での改正項目は以下のようになっています。
- 介護休業の取得が3回を条件として分割取得が可能となった(通算取得可能日数93日は変更無し)
- 介護休業と介護時短制度は別個独立の制度として整理され、時短日数は介護休業日数には通算されなくなった
- 介護休業の申出が2回連続で撤回された場合に、会社はそれ以降の介護休業の申出を拒むことができることとなった
- 介護休暇を半日単位で取得可能となった
- 対象家族の判定に際し、祖父母、兄弟姉妹、孫について同居・扶養要件がなくなった
- 介護のための所定外労働時間免除の規定が新設された
- 有期労働契約者の介護取得要件が緩和された
上記を順に内容を簡単に確認していきます。
介護休業の分割取得
現行法では原則介護休業を取得できるのは、同一の要介護状態の家族について1回、93日に限られます。これが2017年1月1日からは、通算93日に変更はありませんが、3回を上限として分割取得することが可能となります。
必ずしも93日連続して休業する必要がないような場合に、現行法では通算日数に余裕があっても原則として再取得が認められないこともありましたが、今回の改正によって、1ヶ月ずつ3回に分けて取得するようなことが可能となります。
介護時短勤務制度の位置づけの変更
正確には介護のための所定労働時間の短縮措置等で、フレックスタイム制度の導入など時短勤務に限られませんが、現行法では介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能とされていたものが、2017年1月1日からは全く別個の制度として取り扱われることとなります。
これにより2017年1月1日以降93日という日数は、純粋に介護休業の日数のみが通算されることとなります。一方で、短時間勤務やフレックスタイム制度などの措置については、利用開始から3年間の間で2回以上の利用を可能とする制度としなければならないとされています。
なお、ここでいう利用開始は、介護休業の利用開始ではなく、短縮措置を利用開始した日から3年となっていますので、要介護対象家族のいる労働者にとっては使い勝手のよい制度といえるのではないかと思います。
上記の通り、3年間で2回以上利用可能でなければならないわけですが、1回あたりの利用期間の長さはどれくらいなのかが問題となります。これについては、特に定めはないようですが、厚労省が公表している今回の改正を織り込んだ規程例では、1回あたりの期間が1ヶ月以上1年以下の期間とされています。
介護離職をなくそうというのが今回の改正の目的の一つですから、この趣旨と厚労省の規程例を勘案すると、1回当たりの取得上限を1年くらいに設定するのが無難といえそうです。もっとも育児の時短を小学校入学の始期までとするなど法定の要請を上回っているような会社であれば、介護についても3年以内で上限を設けないということも考えられます。
介護休業の申出の撤回の取扱い
従来から介護休業の申出については1回であれば撤回しても再度介護休業の申出をすることは認められていますが、介護休業が分割して取得可能となったことに伴い、介護休業の撤回の取扱いについて、連続して2回申出が撤回された場合にそれ以降の申出を使用者が拒むことができるというようになっています。
基本的に従来と同様の状況であればそれ以降の申出を使用者は拒むことができるということになりますが、分割取得する場合に、第1回目の申出を一度撤回し、その後介護休業を取得し、第2回目の申出も1度撤回したというような場合、通算すれば申出が2回撤回されていますが、この時点で使用者は介護休業の申出を拒否することはできません。
介護休業の申出の撤回回数は通算回数ではなく、連続して2回続いた場合に、その後の申出を拒むことができるということになります。
介護休暇の取得単位
従来介護休暇について1日単位での取得が原則とされていましたが、2017年1月1日以降は半日単位での取得が可能となります。
ここでいう半日は特に定めがなければ所定労働時間の半分を意味します。ただし、労使協定を締結することによって、半日を所定労働時間の半分以外で設定することも可能です。
例えば9時始業、休憩12時から13時、終業18時、所定労働時間8時間の場合、半日は4時間ということになりますが、9時から12時、13時から18時をそれぞれ半日として取り扱うことも可能となります。
途中ですが、今回はここまでとします。