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17年1月1日施行の育児介護休業法改正内容を確認(その2)

2017年1月1日施行の育児介護休業法の改正内容について前回の続きを確認していきます。

対象家族の判定に際し、祖父母、兄弟姉妹、孫について同居・扶養要件がなくなった

従来、介護休業等の対象となる家族について、祖父母、兄弟姉妹、孫については、同居しかつ扶養していることが条件とされていました。しかしながら、単身者が増加している中で、同居や扶養をしていなくても兄弟姉妹の介護をするケースも今後増加していくことが見込まれます。このようなこともあり、従来同居かつ扶養が要件とされていた家族について要件が緩和されています。

介護のための所定外労働時間免除の規定が新設された

従来から育児の側面では3未満の子を養育する従業員が申し出た場合には、その従業員を所定労働時間を超えて労働させてはならないと法で定められていました(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児介護休業法」としてます) 第16条の8)。

しかしながら、介護休業においては、所定外労働の制限についての定めはありませんでした。従来から時間外労働の制限については、育児の条文を準用する形で定めがあった(育児介護休業法17条、18条)ので、従来からあったように思われる方もいるかもしれませんが、所定外労働の制限については今回の改正で新たに創設された部分となっています。

所定外労働の制限と時間外労働の制限はどう違うのかですが、時間外労働の制限は「労働基準法第三十六条第一項 本文の規定により同項 に規定する労働時間」を超える労働を一定の範囲を超えて行わせてはならないとされていますので、1日8時間、1週間40時間を超える部分を一定範囲に制限することを意味します。

一方で所定外労働の制限は、1日8時間労働であったとしても、1日8時間を超える部分の労働が制限されるので、一定の範囲内で時間外労働が認められる時間外労働の制限よりも制限内容が厳格であるといえます。

特に所定労働時間が8時間よりも短い場合、1日8時間、1週間40時間を基準とする時間外労働の制限と所定外労働の制限はその内容が大きく異なるといえますので、特に注意が必要ではないかと考えられます。

有期労働契約者の介護取得要件が緩和された

有期労働契約者について介護休業の取得要件が以下のとおりとされました。

  1. 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること
  2. 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までにその労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

従来は、「93日経過日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く」という要件がありましたが、上記のように要件が緩和されています。

以上が介護休業の改正の簡単な内容となりますが、総じて、介護休業を取得しやすくることで、介護離職を極力少なくしようとする意気込みは感じられるものと評価してよいのではないかと考えます。

2.育児休業関連の改正内容

育児休業関連の主な改正内容は以下のとおりです。

  1. この看護休暇の取得が半日単位で可能となった
  2. 有期労働契約者の取得要件が緩和された
  3. マタハラ・パタハラ防止措置が新設された
  4. 育児休業制度の対象となる子の範囲が拡大された

子の看護休暇の取得が半日単位で可能となった

育児関連の改正で労働者にとって、この半日単位での子の看護休暇の取得が認められるようになったというのが最も影響があるのではないかと思われます。

従来から半日単位での取得を認めていた会社もあると思いますが、午前だけ子どもを病院に連れて行きたいとか、保育園から子どもが熱を出したという連絡を受けて午後だけ休みを取りたいといようなこともよくあると思いますので、与えられている5日(ないし10日)をより有効に利用できるようになると思われます。日数を管理しなければならない会社は処理が煩雑になるという側面はありますが・・・

有期労働契約者の取得要件が緩和された

介護休業と同様に育児休業においても有期労働契約者の育児休業の取得要件が緩和されました。

従来は「2歳までの間に契約が更新されないことが明らかである者を除く」とされていましたが、今回の改正により、1年以上引き続き雇用されていることに加え、子が1歳6ヶ月になるまでの間に、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者であれば、育児休業を取得することが可能となっています。

マタハラ・パタハラ防止措置が新設された

個人的にはいい加減「ハラ」のついた用語にはウンザリしていますが、今回の改正によって事業者対して、上司や同僚が職場において、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由としてこれらを取得する労働者の就業環境を害する行為がないよう防止措置が義務づけられました。

具体的に何をすればよいのかですが、厚生労働省が公開している規程例では、育児休業等に関するハラスメントの防止として、各種制度の申出や利用に関して当該申出・利用する従業員の就業環境を害する言動を行ってはならない旨、およびこれに違反した場合には、就業規則の懲戒等の規定によって厳正に対処する旨が定められています。

規程を改定しさえすればよいというものではありませんが、規程を改正し、違反者は懲罰の対象となる旨を明らかにしておくのは最低限しておいたほうがよいと考えられます。

育児休業制度の対象となる子の範囲の拡大

従来は育児休業等の対象となる子の範囲は法律上の親子関係である実子および養子に限られていましたが、今回の改正によって、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子など法律上の親子関係に準じるといえるような子が追加されています。

すでに対応済みの会社も多いと思いますが、改めて改正内容の確認でした。

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