有給が残っていない社員がインフルエンザにかかったときに考えてみたほうがよいこと
政府の規制改革推進会議の人材作業部会が、有給休暇を勤務開始日から取得できるように会社に義務づけるように労働基準法を改正すべきだという意見をまとめたという報道がなされましたが、新入社員に限らず、有給休暇残高が0の従業員がインフルエンザにかかり、ある程度の期間会社を休まなければならなくなった場合にどうするというようなことが話題となることがあります。
欠勤控除がある月給制の場合、ノーワークノーペイの原則通り欠勤控除として支給額を減額することもあれば、便宜的に有給の前借りを認めるというような運用をしているケースもあります。
ここで、欠勤控除が実施される場合であっても、健康保険の傷病手当金の申請可能性が検討されることは少ないように思いますが、検討してみる価値はあります。
健康保険の傷病手当金は、業務外の事由による病気や怪我の療養のため仕事を休んだ日から連続して三日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。支給される期間は支給開始日から最長1年6ヶ月となっており、長期に会社を休む場合のものというイメージをもっている方が多いですが、待期期間を満たせば休業期間が短くても対象となります。
支給額は標準報酬日額の2/3とまずまずの水準となっています。
休業期間が短い場合の最大のネックは、待期期間が3日必要で、4日目以降の休業についてしか支給をうけられないという点ではありますが、待期期間は有給消化日、土日・祝日等の公休日も含まれるため、例えば土日休みの会社の有給残1日の社員が、金曜日にインフルエンザを発症し、金曜日は有休消化し、翌週月曜~水曜を欠勤し、木曜日に復帰したというような場合、金~日で待期が完了するので、月曜~水曜日は傷病手当金の支給を受けることができる可能性があります。
なお、傷病手当金の支給を受けるためには、保険者(健康保険組合など)が医師等の意見を元に仕事に就くことができなかったと判断してくれなければならないので、いつまでは出社するなという旨の医師の診断書をとっておく必要があると考えられます(会社の社内規程でインフルエンザの場合の出勤停止期間が定められているというような場合も相談の余地はあるのではないかと思います)。
待期3日があるため、実際に支給を受けることができても、支給額は大したことはないかもしれませんが、仮に欠勤控除で支給額がマイナスされてしまうのであれば、わずかであっても支給を受けられるのはありがたいのではないでしょうか。
インフルエンザの流行っている時期ですので、担当者は傷病手当金を使えないかという観点ももっておくとよいかもしれません。