株主リストに関するよくあるご質問
T6A master No.677に「重要資料」として「株主リストに関するよくあるご質問」が掲載されていました。どこの資料かと調べてみると法務省のHPに掲載されているものでした。
13のQ&Aとそれほど分量は多くありませんが、このうち気になったものをいくつかとりあげます。
Q1 株主リストは誰が作成する必要がありますが。
株主リストは、原則として、登記所に印鑑を提出している代表者が作成します。
実務上誰が作成するかはおいておくとして、基本的には代表者に作成義務があるということになっています。
Q4 株主名簿を登記の申請書に添付すれば、株主リストの添付は不要ですか。
株主リストの添付が必要です。株主名簿と株主リストでは記載内容(例えば、議決権数等)が異なっているため、株主名簿の添付により、株主リストの添付を不要とすることはできません。
結論としては、株主名簿で代用できないということですが、株主名簿と株主リストで記載が要請される事項を改めて確認しておくと以下のようになっています。
株主名簿の記載事項は会社法121条で以下のように定められています。
第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
一方で、株主リストに記載が要請される事項は以下の5項目となっています。
- 株主の氏名又は名称
- 住所
- 株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類及び数)
- 議決権数
- 議決権数割合
上記の通り、記載事項がイコールではないので株主リストは別途作成が必要ということになっています。
Q7 いわゆる会計監査人の自動再任(会社法338条2項)の場合には、株主リストの添付は必要ですか。
これについては「株主リストの添付は必要ありません」とされています。毎年あることなので、無駄な手間がかからないのはありがたいです。
Q9 上位10名の株主を記載する場合において、例えば第10位の株主が3名いるようなときは、合わせて何名の株主を記載する必要がありますか。また、その場合の株主リストの書式はどのようなものになりますか。
質問のような場合には,第10位の株主として3名全員を記載する必要があり、合計12名の株主を株主リストに記載することとなります。
なお、法務省のホームページに掲載している書式例は、株主を記載する欄が10名分しかありませんので、この書式例を利用する場合は、任意の別紙を添付するか、10名以上記載できるよう表を加工する等して、株主リストを作成してください。
このようなケースは運が悪かったとあきらめるしかないようです。
Q13 株主の住所について正確に把握していない(地番が分からない等)場合には,株主リストにどのように記載すれば良いでしょうか。
これに対する答えは以下のとおりです。
株主の住所は,株主名簿の記載事項とされていますので、原則として、地番まで記載する必要がありますが、会社が地番まで把握していない場合には、把握している限度で記載すれば足ります。
その場合には、株主リストに「株主○○の住所については、株主名簿にも最小行政区画までしか記載されていない」等、住所を地番まで記載できない理由を注記してください。
会社法が株主名簿で要請している「株主の氏名又は名称及び住所」の「住所」は地番までの住所を意味しているはずなので、上記のような株主名簿では会社法的には問題があると思われますが、そうはいっても既に不明な状態にあると登記ができないということでは困ってしまうので、融通を利かせたということなのでしょう。