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エフオーアイの粉飾決算で主幹事証券に賠償責任が認められた判決ー東京地裁

これは投書の内容が、事情をよく知る内部者が作成したことが推認されるレベルのもの(粉飾の手口を含め具体的に指摘されていた)であったにもかかわらず、追加審査が全販売案件に係る帳票類の写しの突合作業にとどまっており、取引先への照会もなく、匿名投書を受領したことを踏まえた審査としては不十分と認定されたことによります。

投書に記載されていた手口と追加審査手続との関係が不明なのでなんともいえない部分はあるものの、粉飾が行われているという前提にたてば、「全販売案件に係る帳票類の写し」は問題がないように整備されていることが予想されるので、手続きとしては不十分というのも理解できます。ただし、取引先に照会していれば判明したというレベルであれば、会計監査で間違いなく発覚しているレベルのものだと思われますので、実施されていたとしても実効性があったのかは疑問です。

実効性を求めるのであれば、コンフォートレターで会計監査人以外の会計士を使うことがあることからすれば、会計監査人以外の会計士に調査を依頼するということになるのではないかと思います。リスクが高いので受けてくれるところがあるかは不明ですが・・・

最後に東証及び自主規制法人の責任ですが、裁判では「自主規制法人については、公認会計士等による適正な監査が行われていない可能性があり、又は当該財務諸表の内容自体について不自然、不合理な部分があるなど、当該財務諸表の正確性に疑いを生じさせるような事情が存在したにもかかわらず、そのような事情を看過し、追加の審査を行うことなく漫然と上場を承認したと認められる場合に投資者に対する不法行為責任を負うと解するのが相当である」とされました。

そして、「自主規制法人は、会計監査人から売上の実在性についての監査手法について確認したほか、帳票類や預金通帳の確認も行うなどしており、漫然と追加の調査を行うことを怠ったものと評価することはできないとし、投資者に対して負っていた注意義務に違反する行為があったということはできない」と判断されました。また、東証については、「同取引所から委託を受けた自主規制法人が独立した立場で上場審査の全部を行っていたものと認められ、仮に自主規制法人が行った上場審査の過程において過失があったとしても、不法行為責任を負うことはない」とされています。

この判決では、主幹事証券に対して責任が認められたという点を評価する意見がある一方で、元株主の弁護団は2016年12月26日に控訴しました。

弁護団のHPによると、「主幹事証券会社であるみずほ証券に対して引受証券会社としての責任を初めて認めた点に大きな意義がある一方で、発行市場におけるゲートキーパーの責任を軽視し、三重の審査に対する国民の信頼を裏切るものであるなど、不当な点を含んでいます。」というのが主な控訴理由となっています。

求めているのは「上場審査のあり方について適正な司法判断」とされており、東証等の責任が認められないのは納得いかないということのようです。わからなくはありませんが、仮に東証等の責任が認められるようなことになれば、IPOのハードルがさらに高まることが予想されます。

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