閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

東芝が準大手への監査法人の変更を検討しているそうですが,引き受けられる準大手はあるのか?

Yahoo!のニュースに「<東芝>監査法人変更へ 意見対立、解消めど立たず」という毎日新聞が配信した記事が掲載されていました。

東芝のHPには特にリリースが出ていないので真偽のほどは定かではありませんが、第3四半期報告書を意見不表明のまま提出した会社とPWCあらた監査法人の意見対立に解消のめどがたたないことから、会社がが準大手の監査法人に後任の監査人となることを打診しているとのことです。

Pwcあらた有限責任監査法人以外の準大手というと、太陽有限責任監査法人(グラントソントングループ)、東陽監査法人(BDOグループ)、三優監査法人(BDOグループ)、優成監査法(Crowe Horwathグループ)、仰星監査法人、Pwc京都監査法人くらいまでかなというイメージです。

Pwcあらた有限責任監査法人が意見を出せない以上、国際的に同じ系列にいるPwc京都監査法人も取扱いはかわらないと思われます。グランドソントンインターナショナルは世界第7位の会計事務所、BDOインターナショナルは世界第5位の会計事務所となっています。Crowe Horwathは正直あまり聞いたことがありませんでしたが、クロウ・ホーワース・インターナショナルはニューヨークを本部とする世界外9位の会計事務所とのことです。

海外に多くの子会社等を有する東芝の場合、海外のネットワークを有しない監査法人では対応がほぼ不可能と思われますが、上記の三グループであれば、対応することも可能ではないかと推測されます。

とはいえ、そのようなグループがリスクを冒して火中の栗を拾いにいくのかといわれれば、普通に考えるとそれはないと思われます。実態は定かではないものの、Pwcあらた監査法人が意見を出せないところ、すんなり意見をだせば、本当に大丈夫か?という疑念の目で見られることは間違いなく、準大手の法人のイメージダウンにつながりかねないためです。

とりあえず引き受けてダメなものはダメといえばよいというのは正論ですが、上場廃止の引き金となりえるタイミングの監査ですので、そんなに簡単に割り切れるものではありません。特に、不適正意見を表明するのであればともかく、引き受けていながら再度意見不表明ということになると、なんでそんな状態の監査を引き受けたのかという批難を受けることも考えられます。

毎日新聞が配信していた記事では「ただ、大手企業の東芝の監査は作業量が多いため、決算発表は大きく遅れる懸念がある。また、東芝の会計基準は米国基準なのに対し、準大手の監査法人は日本基準を採用しており、会計基準変更につながる可能性がある。」とされています。

「準大手の監査法人は日本基準を採用しており」というのは、いったいなんのことやら意味不明(監査法人自体の計算書類はたしかに日本基準を採用しているでしょうが、大手も同じはず)ですが、米国基準に精通している人材が大手に比して乏しいということであれば、人員数から考えてその通りだと思われます。

ただし、海外は海外のファームの協力が得られますし、国内の処理については日本基準での処理がベースとなることから、現場で監査を担当する会計士等全員が米国基準に精通している必要はないと思われます。

むしろ問題は、単純に東芝クラスの監査を実施する人員数を確保できるのかという点ではないかと思います。問題が発覚する前の平成26年3月期の有価証券報告書で確認してみると、監査報告書にサインしている4名を除き、公認会計士66名、その他53名で監査を行ったと記載されています。

このような規模の会社の監査を引き継ぎ、社会的に注目度の高い会社の監査意見を金融庁等のレビューに耐えうるようなレベルで、かつ短期間で意見を出そうとすれば、前任の監査人の引き継ぎがきちんとあったとしても、上記人数以上の人員を投入する必要があると思われます。

ここで、例えば太陽有限責任監査法人の法人概要をみてみると、いわゆるパートナーが53名、公認会計士が180名、会計士補・試験合格者が85名となっています。現在受託している監査業務等で基本的に大部分の工数が埋まっていると思われますので、とても東芝の監査を受託することは出来ないと思われます。ちなみにPwcあたら監査法人は、監査を受託する際は、海外をふくめて500人体制で臨むといっていたとの記事もあります。

こうした状況を勘案すると、準大手が後任の監査人を引き受けるということも考えにくいのではないかと思います。

個人的には、会社とPwcあらた監査法人で意見不表明の是非を裁判で争ってみてもらいたいと思います。大規模な粉飾が発覚した後で監査を受託しているので、もともとリスクは高かったと思われ、単なるリスク回避的に意見不表明となっているのか、客観的にみて意見不表明が妥当なのかを明確にしてもらいたいと思います。

関連記事

  1. 意見不表明は極めて例外的な状況のみに許容される

  2. 会社法施行規則及び会社計算規則の改正(2018年3月)

  3. 2021年10社で限定付適正意見が表明

  4. 書類添付漏れの訂正報告書提出は38件-2018年3月期有報

  5. 東芝、定時株主総会もついに幕張メッセで開催予定に

  6. 粉飾決算の事後処理にかかる費用はいくらくらい?




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,956,982 アクセス
ページ上部へ戻る