東芝の適時開示とEDINET提出時間からも混乱が窺える?
東芝が本日付で、提出を延期していた平成29年3月期の第3四半期報告書を提出しましたが、この四半期報告書について監査(レビュー)を担当しているPwcあらた有限責任監査法人は結論不表明のレビュー報告書を提出したとして話題となっています。
結論不表明の根拠してレビュー報告書には以下のとおり記載されています。
注記21.重要な後発事象の通り、米国ウエスチングハウスエレクトリックカンパニー社(以下、「WEC」という)による、CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社の買収に伴う取得価格配分手続の過程に関連して、一部経営者による不適切なプレッシャーの存在を示唆する情報がもたらされた。株式会社東芝の監査委員会は、外部弁護士事務所等を起用して、一部経営者による不適切なプレッシャーの有無及び会計への影響等に係る調査を実施した。当監査法人は当該調査の評価を継続中であり、本四半期レビュー報告書日現在終了していないが、株式会社東芝は第3四半期連結財務諸表を作成し、提出することとした。
継続中の評価の対象事項には、注記19.企業結合に記載されている、2016年度第3四半期末における四半期連結貸借対照表計上額495,859百万円の前提となる取得日現在の公正価値635,763百万円の工事損失引当金について、当該損失を認識すべき時期がいつであったかを判断するための調査に対する当監査法人の評価も含まれている。また、その他にも当監査法人の評価が終了していない調査事項があり、これらの影響についても、確定できていない。
四半期レビュー報告書日現在、当該評価手続が継続中であり、当監査法人は、株式会社東芝の監査委員会による最終的な調査結果を評価できておらず、その結果、当監査法人は、上記の四半期連結財務諸表に修正が必要となるか否かについて判断することができなかった。
評価が未了の事項がいくつかあるというものの、主な論点は「公正価値635,763百万円の工事損失引当金について、当該損失を認識すべき時期がいつであったか」という点のようです。一般的に期間帰属の問題は重要であるものの、この期に及んでは、過去の損益よりも期末のBSに興味がある利害関係者が多いと思われます。BSは正しいという結論は選択肢はおそらくないので、影響額を勘案し結論不表明とするというのも理解できるものの、ダメとも言えない歯切れの悪さは一般的には理解されにくいものだと思われます。
TDnetで「四半期レビュー報告書の結論不表明」という適時開示は17時15分に開示されました。この適時開示においては、結論不表明であるものの本日付で第3四半期報告書を提出予定と記載されています。
EDINETへの書類提出時間は基本的に17時15分までだったのでは?と気になったので、EDINETを確認してみると17時4分に問題の第3四半期報告書は提出が完了していました。
適時開示の記載からも当初の想定では適時開示後、EDINETへの提出が前提とされていたようですし、TDnetの開示を17時で設定しさえすればよかったわけですが、結果的にこのような順序での開示となっていることからも現場での混乱が窺えます。あるいは最後まで結論不表明の是非をめぐって会社と監査法人で揉めていたということかもしれません。
会社は本決算も5月中旬に発表するとしていますが、果たしてそれまでに、第3四半期のレビュー報告書の結論は得られるのかにも注目です。