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東芝が株主代表訴訟に対して第3四半期報告書で引当計上した金額はいくら?

先日第3四半期報告書をレビュー報告書の意見不表明のまま提出した東芝が「当社に対する損害賠償請求訴訟の提起に関するお知らせ」を本日付で公表しました。

開示の目的は、本日新たに提起された株主代表訴訟についての開示ですが、いままで提起されているものも含め一覧が開示されています。本日開示されたものの請求額が約141億円、以前開示されている20件の請求額が約502億円となっています。原告は個人もいるものの、金額が100億円を超えるような大きいのものは日本トラスティ・サービス信託銀行などの法人株主によるものとなっています。

今回の開示で気になったのは、「本件訴訟については、2016 年度第4四半期に合理的に見積可能な金額を引当計上する予定です。」という部分でした。いったい会社はいくらの引当を計上するのだろうと疑問に思っていると、さらに「下記「本件訴訟以外の損害賠償請求訴訟の概要」に記載の No.1 から No.17 の訴訟については、既に 2016 年度第3四半期までに合理的に見積り可能な金額を引当計上しており」と、先日の第3四半期報告書では合理的に見積可能な金額が引当計上されているということに初めて気づきました。

いったいいくらの引当を計上したのだろうと、第3四半期報告書を確認してみると、「17.訴訟事項」において以下のように注記がなされていました。

(一部抜粋)
当社は、2015年2月、証券取引等監視委員会から金融商品取引法第26条に基づき報告命令を受け、工事進行基準案件等について開示検査を受けました。その後、第三者委員会を設置し調査を行った結果、不適切な会計処理を継続的に実行してきたことが判明し、過年度の有価証券報告書等の訂正を行いました。当社の不適切な財務報告について、米国カリフォルニア州において、米国預託証券等の保有者によって当社を被告とした集団訴訟が提起され、当社は、米国証券関連法令の適用がないこと等を理由に、本件集団訴訟の棄却を裁判所に申し立てていましたが、米国現地時間2016年5月20日付けで本集団訴訟を棄却する旨の決定がなされました。なお、本件決定については、米国現地時間2016年7月25日付けで原告が上訴しました。また、国内においても、当社の不適切な会計処理により損害を被ったとして、損害賠償請求訴訟がいくつかの裁判所で提起されており、日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社から11,993百万円の損害賠償を請求する訴訟が2016年8月に提起、同月に当社へ訴状が送達され、東京地方裁判所に係属しています。また、海外の機関投資家等から16,651百万円の損害賠償を請求する訴訟が2016年6月に提起、2016年10月に当社へ訴状が送達され、東京地方裁判所に係属しています。これらについては、合理的に見積り可能な金額を引当計上しています。なお、今後も株主等から当社に対して訴訟が提起される可能性がありますが、その影響額を当四半期報告書提出日現在において合理的に見積もることはできません。

会社が上記に対して引当計上された金額は明示されていませんが、BSに注記番号17が付されているのは「その他流動負債」と「その他固定負債」となっていますが、第2四半期報告書でも同様の注記がなされていたにもかからわず、「その他固定負債」には注記番号が付されていないので、上記の引当額は「その他流動負債」に含まれているようです。

「その他流動負債」の金額は以下のように推移しています。
16年3月末 359,633百万円
16年6月末 322,431百万円
16年9月末 318,988百万円
16年12月末 888,982百万円

ちなみに15年6月末は375,473百万円となっており、上記の推移と引当計上時期を考慮すると、あまり大きな金額は見積もられていないということだと推測されます。裁判で争うことになる以上、いくら支払うことになると考えているかを明示することはないのは当然であると思われるものの、果たしていくらで決着するのか、今後の展開に注目です。

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