閉じる
閉じる
閉じる
  1. 届出漏れが原因で不支給となっていた手当は遡及して支払う必要があるか?
  2. KAMの個数は1個が7割超-経営財務誌調べ
  3. 短期前払費用特例適用の留意点
  4. 会計監査人の異動は209件-2021年度モニタリングレポート
  5. 執行役員から社長選出の定款変更が否決された株主総会事例
  6. 電子取引制度、保存要件未充足で青色申告取消になる?
  7. 2021年3月期有報、KAMなしは119社
  8. 社会保険等で引き続き押印が必要な手続きは何?
  9. 2020年4月~2021年6月に61社が減資関連の適時開示を実施
  10. 電子取引制度-Excel台帳でも検索要件を満たせるようです
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

公認会計士・監査審査会が監査アリアに対する行政処分を金融庁に要請

平成29年6月8日に公認会計士・監査審査会は「監査法人アリアに対する検査結果に基づく勧告について」において、金融庁に対して同監査法人に対する行政処分を勧告した旨を公表しました。

「当監査法人の運営は、著しく不当なものと認められる」ため勧告となったわけですが、「著しく不当」と判断された理由については以下のような点が挙げられています。

まず、「当監査法人は、監査リスクの高い複数の上場会社の監査業務を新規に受嘱しているが、その中には、過去に不正会計を行ったものや受嘱時において有価証券報告書等の提出期限までの期間が短いもの、前任監査人との間で訂正監査契約が締結されなかったものなどが含まれている。」とし、監査法人は品質管理体制は十分であると認識しているが、「社員等が代表を務める他の法人等に関して独立性の確認を行っていないことが認められるほか」、「監査業務の新規受嘱時の対応において複数の不備が認められ、監査業務の実施について、残高確認により入手した回答を検討しないなど監査の基本的な手続における不備が複数認められている。 」と記載されています。

さらに「審査においては、大会社等の監査経験のない者を専任の審査担当者として選任
しており、当該審査担当者による十分な審査手続が実施されていない」などとされ、「当監査法人の品質管理態勢は著しく不十分である。 」とされています。

これだけでも十分過ぎるくらいですが、上記は1.から5.で構成されている1.に記載されている事項です。

監査法人アリアが監査を行っている(いた)被監査会社を検索すると、(株)オークファン(マザーズ)、(株)ストライダーズ(JSQ)、エルシーエーホールディングス(2015年12月1日上場廃止:有報虚偽記載)、サハダイヤモンド(2016年11月1日、株価10年未満継続)がヒットしました。

上記のような勧告が出されることによって、同監査法人の担当している会社の株価は影響があるのかどうかを確認してみると、(株)オークファンは当該勧告公表後930円前後で推移しており特に影響はないようです(出来高も3万株程度で多くありませんが・・・)。(株)ストライダーズについても、60円前後で推移しており特に悪影響があるという感じではありません。

もっとも大手・中堅監査法人でないことはわかっていた訳ですから、この様な勧告が出たからといって反応するような株主は既に株を保有しておらず、株価も反応しないということかもしれません(監査法人がどこかなんてことも気にしていないかもしれません・・・)。

上記のほか2.以降で記載されている項目のうち主要なものは以下のとおりです。

「複数期にわたる訂正監査の受嘱が監査報告期限の直前であり、前任監査人から監査調書を借り受けて前任監査人の監査手続の十分性の評価や必要な追加手続を行うことが困難な状況であるにもかかわらず、受嘱に当たり必要となる監査時間及び監査要員について十分に分析をしていない。」

一時期、監査意見が出ないため東芝が会計監査人の変更を検討してる旨が報道されましたが、きちんと監査をやる時間があるのかどうかは当然検討すべきですが、これが行われていなかったということのようです。

この他、「個別監査業務においては、特別な検討を必要とするリスクを識別しているのれんの評価に係る監査手続において、のれんの残高を誤認し、のれん残高全体の回収可能性について監査証拠を入手しておらず、また、残高確認手続により入手した回答を十分に検討していないため、有価証券報告書における関連当事者の注記漏れを発見できていない。 」

関連当事者の注記漏れは質的に重要な可能性はあるものの単なる注記漏れですが、「特別な検討を必要とするリスクを識別しているのれんの評価に係る監査手続において、のれんの残高を誤認し、のれん残高全体の回収可能性について監査証拠を入手しておらず」という部分については、結果的にのれんの残高は妥当なのかという点が本来問題となるはずですが、監査審査会としては、監査が適切に行われているかどうかを判断するのが仕事なので、残高が適切であったのかどうかについては言及されていません。

また、「当監査法人の監査業務の定期的な検証は、公認会計士資格を有しない補助者が
主に実施しており、経験のある責任者が十分に関与していない」という点や、「前回審査会検査において残高確認の手続の一部未実施や会計上の見積りの監査手続の不備を指摘された業務執行社員の2名については、今回審査会検査においても前回指摘と同一の不備が複数認められている。」ということが述べられています。

この勧告を受け、金融庁から何らかの処分が下されるのだと思われますが、仮に監査人の交代が必要となった場合、後任の監査人は監査を引き継ぐのも大変だと思われます。

この勧告を読むと酷いと思う一方で、通常リスクが高い監査業務を大手および準大手監査法人は受託しないところ、「監査リスクの高い複数の上場会社」も制度上、誰かが監査意見を表明しなければならないというも事実です。そのため、このような被監査会社を引き受ける監査法人が必要となりますが、そのようなリスクをとらなければならない監査法人に高度な品質管理に期待するは一般的に無理があるように思われます。

東芝クラスになれば、リスクが高そうに思えても大手が受託してくれますが、新興市場の会社は単に斬り捨てられるだけという点をなんとかしないと、次々に同様の監査法人がでてくるだけという結果は容易に想像できるのではないでしょうか。

関連記事

  1. 東北地方太平洋沖地震を踏まえた決算発表等に関する取扱いについて(…

  2. 大手監査法人から中小法人への会計監査人交代が鮮明

  3. 条件付対価返還の会計処理を明確化する方向で検討

  4. 税務上の「のれん」とは?(その3)

  5. 連結納税の税効果(その2)

  6. 機能通貨の変更の処理-IAS21

カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 11,298,235 アクセス
ページ上部へ戻る