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株式の無償発行を会社法上可能とする方向で検討

T&A master No.699に「会社法上、株式の無償発行が可能とされる方向」という記事が掲載されていました。

この記事によれば、「法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会で検討している会社法の見直しでは、現行実施することができないと解されている株主の無償発行が可能になりそうだ」とされています。

これは、「同部会が昨今インセンティブ報酬採用企業の増加に伴い会社法の規律を整備する必要があるとの指摘を受けて検討しているもの」とのことです。

現行法における解釈としては、株式を取締役の報酬等とする場合については、募集株式の払込金額又はその算定方法を常に定めなければならないとされているため、株式の無償発行はできないと解されています。

そのため、実務上は、出資の履行に必要な金銭を取締役の報酬等とすることとされています。例えば、本日、ぴあ株式会社が公表した「当社執行役員に対する譲渡制限付株式としての新株式の発行に関するお知らせ」においては、制度の概要として以下のように説明されています。

【本制度の概要等】
対象社員は、本制度に基づき支給された金銭債権の全部を現物出資財産として払込み、当社の普通株式について発行又は処分を受けることとなります。
(一部抜粋)

このような方法は「技巧的で分かりにくいなどの指摘がある」ことから、取締役の報酬等である株式を交付するために募集株式の発行をする場合には、募集株式と引き換えに金銭の払い込みを要しない株式の無償発行を可能とすることが検討されているとのことです。なお、上記に類似したものとしては、ストックオプションとしての新株予約権の発行時に、いわゆる相殺構成によって有利発行にあたらないという取扱いがあります。

個人的には、無償がクローズアップされるよりは、単なる擬制にすぎないとしても、会計処理などを考えると報酬としての金銭債権を出資しているという考え方の方がしっくりきますが、実際に金銭のやり取りが生じるわけではないので、そうであれば無償発行ができるとすればよいという理屈もわからなくありません。

適時開示情報をみていると、特定譲渡制限付株式の導入企業が増加していると思われる一方で、株式報酬制度として、いわゆる1円ストックオプションを継続している会社も見受けられます。これは実務として定着している手法であるという側面も大きく影響していると思われ、そういった意味では理屈づけを変更することによるメリットがないと、かえって実務を混乱させるだけという結果になる可能性も考えられます。

無償発行だから会計上費用計上は不要ということになるのであれば、無償発行万歳という声が聞こえてきそうですが、そういうことにはならないと考えられますので、最終的には税務面での取扱いがポイントとなりそうです。いずれにしても単なる理屈の話で、企業側に大したメリットがないのであれば、現行制度で十分と思われます。

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