「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に関するQ&Aが更新-新旧委託先での特定個人情報のやり取りは可能
平成29年7月12日付けで個人情報保護委員会は”「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」に関するQ&Aの更新”を公表しました。
問合せの多い事項について、ガイドラインに関するQ&Aを追加したもので、事業者編については、「3:委託の取扱い」と「11:講ずべき安全管理措置の内容」にそれぞれQ&Aが一つずつ追加されています。
後者の講ずべき安全管理措置二関するQ&Aは、「従業者に、特定個人情報等の取扱いに関する研修を行う場合、どのような点に注意すればよいですか」に対して、「研修を行うに当たっては、受講する従業者が従事する事務の特性、役割等に応じた研修内容にすること、研修の未受講者に対して再受講の機会を付与することなどが考えられます。」というものです。
「従事する事務の特性、役割等に応じた研修内容にする」ということは、全体研修のような感じで研修を行うのは難しいということになりますので、このQ&Aを参考にすると、研修のやり方を見直さなければならない可能性もあります。
次に「3:委託の取扱い」に追加されたのは「Q3-11-2 事業者が個人番号関係事務を委託している場合において、現在の委託先との委託契約を終了させて、新たに別の者に個人番号関係事務を委託するときに、現在の委託先が保有している特定個人情報を新たな委託先に直接提供させることはできますか。」というものです。
普通に考えると、現在の委託先の保有している特定個人情報は委託先で破棄するか、委託元に返却し、新たな委託先は新たに特定個人情報を委託元から取得するという処理が考えられます。しかしながら、委託元としては実務上煩雑なので、問題がないのであれば、旧委託先の保有している情報を新委託先に提供してもらえるとありがたいということで、このような質問が多かったものと推測されます。
結論としては「委託元と新たな委託先との間で個人番号関係事務に関する委託契約が存在しているのであれば、委託元の指示に基づき、現在の委託先から新たな委託先へ、特定個人情報を直接提供させることは可能」とされています。
なお、このような処理を行うにあたっては「委託元と現在の委託先との間で、委託契約終了にあたって、委託契約により保有している特定個人情報は、委託元の指示に基づき、新たな委託先に全て引き渡すことをもって、保有している特定個人情報を委託元に返却したものとするなどの規定を追加することや、委託契約終了後に特定個人情報を保有していないことを確認することなどが望ましいと考えられます」とされていますので、契約の見直しなどが必要になると考えられます。
委託元からすると、特定個人情報のやり取りの手間を考えて、委託先を見直すことを躊躇する必要がなくなるので、このQ&Aは頭に入れておくとよいと思います。