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不適正意見・意見不表明と上場廃止基準の関係

経営財務3324号のミニファイルに「監査意見と上場廃止基準」という記事が掲載されていました。

一般的なイメージとしては、不適正意見→上場廃止→倒産ではないかと思いますが、東芝では「意見不表明」が脚光をあびました。一般的な感覚としては、そんなのありなのかという感じではないかと思いますが、呼び方はともかくとして、意見を表明しないという選択肢が昔から存在するというのに変わりはありません。

監査意見に関連する東証の上場廃止基準には、「監査報告書又は四半期レビュー報告書に『不適正意見』又は『意見の表明をしない』旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき」は上場廃止になるとされています。

不適正意見や意見不表明が即上場廃止となるわけではなく、取引所に裁量の余地がある形の規定となっています。上記の基準に対してもつ印象は人それぞれでしょうが、大企業を上場廃止にすると市場に混乱を与えて、市場の秩序を維持することが困難なので、大企業ほど上場廃止にはなりにくいとも読めなくもありません。

この解釈については、「特設注意市場銘柄の積極的な活用等のための上場制度の見直しについて 」(平成25年6月17日 株式会社東京証券取引所)において、以下のように示されています。

直ちに上場廃止としなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかなとき」とは、例えば、上場前から債務超過であったなど虚偽記載により上場基準の著しい潜脱があった場合や、実態として売上高の大半が虚偽であったなど虚偽記載により投資者の投資判断を大きく誤らせていた場合など、そのまま当該銘柄の上場を維持すれば当取引所の金融商品市場に対する投資者の信頼を著しく毀損すると認められる場合が想定されます。

東証の上場廃止基準が上記のような文言に変更されたのは、オリンパスの粉飾が明らかになった後の2013年8月でした。上記のような文言の前はどのようになっていたかというと、以下のように規定されていました。

次の a.又は b.に該当する場合であって、かつ、その影響が重大であると当取引所が認める場合
a. 上場会社が有価証券報告書等の虚偽記載を行った場合
b. 上場会社の財務諸表等に添付される監査報告書において、公認会計士等によって、「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨が記載された場合

上記でも「影響が重大であると当取引所が認める場合」と取引所に裁量があるわけですが、オリンパス事件の後に、現行のような基準に文言に改正を行ったため、改正時のパブリックコメントには以下のような意見が寄せられたとされています。

この見直しはオリンパスを上場廃止にしなかったことを正当化するために後付けで計画したのではないか。後から高い敷居を作って、上場維持を妥当だったと言うのは、正しい態度ではない。 (コメント1)

今回の改正は、実質的には上場廃止基準の緩和ではないか。以前上場廃止となった会社も、売上の粉飾は大半ではないし、上場前から債務超過でもなかった。
「明確化」と言っているが、これまで上場廃止にしてきた会社は行き過ぎだったということか。 (コメント2)

上記に対する取引所のコメントは「今回の見直しは、上場廃止基準の緩和を目的とするものではなく、投資者の予見可能性の向上のため、虚偽記載等に起因する上場廃止基準の取扱いの明確化を行うものです」というものになっています。

個人的に「虚偽記載等に起因する上場廃止基準の取扱いの明確化」が実現しているようには感じませんが、東芝については限定付とはいえ適正意見が表明されたことにより、上記の上場廃止基準には抵触しないこととなりました。

とはいえ、東芝は監理銘柄(審査中)に指定されており、「内部管理体制等について改善がなされなかった」と東証が認めた場合、あるいは2018年3月期において債務超過であった場合には別の上場廃止基準に抵触することとなります。

しかしながら、「内部管理体制」については東芝クラスの会社であれば形式的にはいくらでも取り繕うことは可能と思われ、東芝メモリーの売却で債務超過も逃れることができそうだということを考えると、上場廃止の可能性は低いということになりそうです。

もっとも、東芝の粉飾が発覚したときに話題となった「チャレンジ」ですが、これは東芝に深く根ざした文化なのではないかと思われます。というのは、東京芝浦電機株式会社時代に発刊されている「目標管理実践マニュアル(増補版)」(1972年)の中には、目標管理制度の運用において「チャレンジ」と「レスポンス」という用語が登場しています。

ここでいう「チャレンジ」は上司から部下に対する「問題提案」という意味合いで使用されており、具体的には以下のように記述されています。

チャレンジとは、上長が部下の仕事のとらえかた、遂行の仕方について核心的な質問をし、問題を投げかけて(問題提案)、部下が能動的・創造的に問題をつかみ、これを前向きに解決しようという意欲をふるいたたせ、促進することです。それは部下の自立的な職務遂行態度(自己統制)をくずすことなく、しかも遂行の質を高め、より核心にふれた方向に向けさせるために、部下の目標遂行過程に割って入り、刺激を与えることだといえます。

粉飾発覚時の報道のイメージでは、「チャレンジ」はあたかも粉飾のための合い言葉のようにとらえていましたが、上記の書籍で、元々はそんな意味ではなかったということに気づかされるとともに、あれだけの企業であってもこのようになってしまうということが恐ろしくもあります。

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