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電通違法残業裁判-求刑「罰金50万」は何故?

電通の新入社員が2015年12月25日に自殺したことを受けて過労死認定された件に関連して、違法残業があったのに必要な防止措置を取らなかったとして、労働基準法違反の罪に問われた電通の初公判が本日開かれたそうです。

朝日デジタルの記事では、大企業のトップが法廷に立つことは異例としたうえで、以下のように伝えられています。

法人を代表して山本敏博社長(59)が出廷し、起訴内容についての認否を問われ、「間違いありません」と罪を認めた。検察側は「自社の利益を優先させ、違法な残業が常態化していた」と指摘し、罰金50万円を求刑。公判は同日結審した。判決は10月6日。

インターネット上の他の記事でも、タイトルに「罰金50万円」というものが含まれているものが多く見受けられます。一般的な感覚としては、あれだけ話題になって罰金50万円というのは、罰が甘すぎるのではなかと感じるのではないかと思います。

過労死裁判では、損害賠償額が億円単位になることもあり、そのイメージがあると、二度目でこれはないだろうと思っても仕方がありません。しかしながら、それは民事上の話で、一方で労働基準法は刑罰法規ですので、あらかじめ定められた罰則の範囲でしか罪を問うことはできません。

そこで、労働基準法における罰則規定を確認してみると、最も重い罰則は1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金となっています。

そうするとやはり罰金50万円は軽いのではとなりますが、この罰則が適用されるのは労基法5条(強制労働の禁止)のみです。電通の新入社員も強制労働のようなものだったのではないかと主張する人もいるかもしれませんが、労基法5条では以下のように定められています。

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

暴行、脅迫、監禁のような手段で労働が強制された場合に労基法5条違反ということになりますが、電通のケースでは長時間労働であったとしても、帰宅できないように監禁されていたというようなことではないので、5条違反にはあたりません。

これを踏まえて、報道されている記事をみると「違法残業があったのに必要な防止措置を取らなかった」ことに対する労働基準法違反であったとされています。

そもそも、労基法では原則として1日8時間(1週間40時間)以上の労働は法律違反で、例外的に36協定を締結し、労働者が合意し、かつ36協定の範囲で時間外労働をさせることができるという建て付けになっています。

36協定は労基法36条(時間外及び休日の労働)に関する労使協定というところから、そう呼ばれているので、罰則を確認してみると36条1項但し書き違反は6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています(労基法119条1項)。しかしながら、これは坑内労働の時間外労働が1日2時間を超えてはならないというもので、労使協定の限度を超えて労働させたことについては罰則が設けられていません。

そうすると罰則はないのかですが、そのようなことはなく、この場合、1日8時間(1週間40時間)以上の労働を禁止する労基法32条違反となります。労基法32条違反の罰則は、同じく6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金とされています。



しかしながら、これだと罰金50万円は求刑はできないはず・・・。

ですが、過去違法な長時間労働で罰金を科せられたJCBやドンキホーテなどの事例でも同じく罰金は50万円で、罰金を50万円とする理屈がなにかあるはずです。

ちなみに、労基法上2番目に重い罰則は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですが、この対象となるのは、労基法6条(中間搾取の排除)、56条(最低年齢)、63条(坑内労働の禁止)、64条の2(坑内業務の就業禁止)などで、電通の件には関係なさそうです。

強制労働違反以外は罰金50万円が最も重い罰金というのは、一般的な感覚では安すぎると感じるわけですが、法律で決まっている以上、その金額は変更できません。そうはいっても、悪質な違反は罰金50万円までは持って行きたいという思いは裁判所にもあるはずで、それを可能にするのが併合罪という考え方です。

調べてみると、最高裁の判例において「労働基準法32条1項(週単位の時間外労働の規制)と同条2項(1日単位の時間外労働の規制)とは規制の内容及び趣旨を異にすることに照らすと、同条1項違反が成立する場合においても、その週内の1日単位の時間外労働の規制違反について同条2項違反の罪が成立し、それぞれの行為は社会的見解上別個のものと評価すべきであって、両罪は併合罪の関係にあると解するのが相当である」(平成22(あ)148)というものがありました。

そうだとすると罰金は30万円+30万円で60万円以下まで可能ということになりますので、労基法上2番目に重い罰則の罰金上限50万円を勘案して50万円という理屈なのではないかと考えられます。

罰則強化も検討の余地はありますが、本当にブラックだと思ったら、労働者もとっとと見切りをつけるということも必要ではないかと思います。

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