閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

日本郵政の有価証券報告書であらためて気づくこと-内部監査に問題あり?

昨日、日本郵政株式会社が最大で1.4兆円の株式を新たに売り出すということが報道され、同社から「株式売出しに関するお知らせ」という適時開示も行われました。

新たに売り出される株式数は929,169,900株で、さらに追加売出しが60,929,200株とされています。売出人は「財務大臣」とされており、追加売出し人は「財務大臣」と「野村證券」となっています。

非常に大きい株数なので、そもそも日本郵政の株主構成などがどうなっていたのかと直近(平成29年3月末)の有価証券報告書を確認すると、発行済株式総数は45億株となっていました。929,169,900株は発行済株式総数の20.6%程度で、現在の時価総額が6兆1785億円なので、20.6%相当で考えると1兆2757億円程度となります。

株主構成を確認してみると、筆頭株主は「財務大臣」で、所有株式数3,622,098千株、所有割合80.49%となっています。したがって、約20%を売り出してもまだ60%程度を財務大臣が保有するということになります。

筆頭株主が約80%も保有していたのかという点にまず驚きましたが、「氏名または名称」は、この場合「財務大臣 麻生太郎」ではなく、「財務大臣」とのみ記載されるというのもなかなか面白い記載だなと思いました。

「財務大臣」は単なる役職で自然人そのものではないと思っていましたが、法人のように取り扱われるのか自然人扱いなのか定かではありませんが、ともかく権利主体となりうるという位置付けなのでしょう。

次に、つい気になってしまうのが、監査報酬の水準です。確認してみると、監査証明業務に基づく報酬は、当連結会計年度が828百万円(うち連結子会社596百万円)、全連結会計年度が822百万円(うち連結子会社597百万円)となっています。実際のところどれくらい大変なのかは外部からは判断できませんが、連結子会社にはゆうちょ銀行やらかんぽ生命なんかも含まれているので、監査報酬としては特に高い感じはせず、むしろこんなものでよいのかなという気はします。

一方「非監査業務に基づく報酬」も結構な金額が記載されています。前連結会計年度は300百万円で、内容は「株式上場を目的とした体制整備等に関するアドバイザリーであります」と記載されており、上場に向けた体制が不十分であったとすれば、会社の規模と大手監査法人の組み合わせから考慮すると、これくらいになることもあり得るかなという感じはします。

興味深いのは当連結会計年度の「非監査業務に基づく報酬」が150百万発生しており、内容は「内部監査研修に関するアドバイザリー業務等であります」とされています。「等」なので、すべてが「内部監査研修に関するアドバイザリー業務」でないとしても、「株式上場を目的とした体制整備等」の半分の報酬なので、相当な作業であると思われます。

チャージレートを1時間2万円平均だとしても、7500時間相当で、1日8時間で換算すると約938日となります。1年の営業日を240日程度とすれば、約4名が1年張り付いた位の報酬と試算されます。

連結子会社が274社あるとはいえ、なんとなく不思議な感じはします。そもそも、上場翌年に「内部監査研修」にこれだけコストをかけなければならない状態で上場できているのが大人の事情ということなのか、「研修」という名目の実質内部作業代行なのか、可能性としては色々想像できますが、今回の売出が実行されても、なお実質的に国が過半数を保有しているので、問題が起きても国がなんとかしてくれるのでしょう。

いずれにしても売出で得た資金が国有地の安売りの穴埋めなどではなく、有効に活用されることを祈ります。

関連記事

  1. 中小企業金融円滑化法利用後の倒産件数は減少も高水準-帝国データ調…

  2. 『獄中のホリエモン「オリンパス」に憤る』(FACTA3月号)

  3. 「中小企業金融円滑化法」(モラトリアム法)が19年3月で実質終了…

  4. ストーリーとしての競争戦略

  5. ライツ・オファリングリングとは?

  6. 臆病な日本メディア-Financial Timesより




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,946,833 アクセス
ページ上部へ戻る