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2017年6月開催の株主総会の状況確認

ビジネス法務2017年10月号に「2017年6月総会振り返り」(三井住友銀行株式会社 証券代行コンサルティング部 丹羽翔一氏)という記事が掲載されていました。

全般的な傾向としては、CGコード対応が浸透しているということのようです。以下、取り上げられていた項目のポイントを確認していきます。

1.株主総会の開催日

 総会の開催日については第一集中日(6/29)の割合が前年比2.59ポイント減の29.64%となったとのことです。第一集中日の開催割合が3割を下回ったのは初めてとのことなので、集中日を避ける日程の設定を考慮している会社が増えたといえます。
 さらに興味深いのは、「第三集中日は、従来の傾向によれば6/27(火)となりそうなところ、それより早い6月23日(金)」となったという点で、数日の差に過ぎないとはいうものの、集中日を避けようとする各社の思惑が窺えます。
 

2.出席株主数および所要時間

三井トラストグループが受託している会社における株主総会の平均出席株主数は、前年比2名減少の199名、平均所要時間は前年と同じで55分であったとのことです。

上記からするとほとんど変化がないということになりますが、同社の分析によると、お土産の有無に変更がない615社でみると、平均出席株主数は前年比6名増の205名となっているとされています。したがって、基本的には株主総会の出席株主数は増加傾向にあるものの、お土産を廃止した会社の株主総会への出席者が大きく減少した影響で、全体の平均としては2名の減少となったという分析が示されています。

平均所要時間は上記の通り前年から変動はなく、平均発言者数、平均発言件数がそれぞれ3.43名(昨年3.33名)、5.73件(昨年5.61件)と微増にとどまっていることを考慮すると、株主総会での説明などを従来よりも長くしているというようなことはないようです。

3.株主総会の発言状況

質問の項目としては「経営政策・営業政策」が59.4%と圧倒的に多く、この傾向は前年同様です(前年56.1%)。2番目に質問が多かったのは「リストラ・人事・労務」で25.3%、僅差で「財務状況」が24.7%と続いています。前年は2番目に多かったのが「財務状況」28.1%、「配当政策・株主還元」24.7%、そして「リストラ・人事・労務」22.1%であったので、電通の過労死問題などの影響で今年は「リストラ・人事・労務」が上位にランクアップしたということのようです。ちなみに今年の「配当政策・株主還元」は22.9%で4番目の位置づけとなっています。

質問がない株主総会の割合は、それほど大きな変動ではないものの前年26.5%から23.2%に減少しており、株主が積極的に質問するようになっているという傾向が窺えます。

4.議決権行使状況

日経500を構成する3月決算会社における主な会社提案に対する平均賛成率は、取締役選任議案(監査等委員である取締役選任議案を除く)が94.9%(前年95.1%)、監査役選任議案が92.4%(前年92.1%)であったとされています。これも大きな変動ではないものの、取締役も監査役も平均賛成率は低下しています。

興味深いデータとしては、ROEが5%を下回る会社の取締役候補者筆頭の平均賛成率は88.7%、株主総会後に社外取締役が2名以上いない会社の取締役候補者筆頭の平均賛成率は82.1%と低くなっているとのことです。

5.株主提案権

6月の株主総会で株主提案があった社数・件数は40社、212件で、前年に引き続き過去最高を更新したとのことです。内容としては定款変更議案が前年比44件増の173件と8割を占めているとのことですが、取締役・監査役解任議案が前年比10件増の16件と割合的には大きく増加しているとのことです。

株主提案は1社1件(取締役選任)を除き、否決されているものの賛成率が10%以上の議案が前年比8件増の56件、20%以上の賛成率となった議案が11件増の27件と、高い賛成率となる株主提案が増加傾向にあるとされています。

6.招集通知の早期発送等

招集通知の発送期間の平均は前年18.2日に対し、今年が18.3日なので全体としてみれば大きな変動はないということになりますが、期間別にみると18日~20日の割合が31.8%から33.4%に、21日~27日の割合が23.8%から24.9%に増加しており、発送期間を伸長しようという傾向は明らかとなっています。

また、発送前開示を行う会社は前年比242社増加の1796社となったとのことです。また、1日前の開示が25.8%と最も多くなっているとのことですが、4~7日前に開示する会社の割合が41.3%と増加しているとのことです。

印刷前にデータはできているので、4~7日前の開示というのは実務上特に問題なく行えるレベルといえ、来年以降さらにこの割合は増加するのではないかと思われます。

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