2017年1月~10月のIPO-市場・業種・監査人の傾向は変わらず
経営財務3334号のニュースに「市場・業種・監査人の傾向変わらず」という記事が掲載されていました。
この記事によると2017年の新規上場(IPO)は10月までで62件(うち2社はテクニカル上場)となり、業種部屋市場別の件数をみると情報・通信業やマザーズが最多である傾向は変わらないと述べられています。
そして、「会見監査人の8割を4大法人が占める状況も同様」とする一方で、「一部報道に見られるような大手監査法人による受注停止(延期)が出てくると、今後のIPOに影響が及ぶ可能性もある」としています。
日経新聞が2017年10月28日に「あずさ、新規受注停止 新規上場のネックに 監査法人、質向上へもがく」という記事で報じたところによれば、あずさ監査法人は「新規案件の受注を1年間停止する」と宣言したとされています。あずさ監査法人は「ライバルから大手企業の監査契約を次々と取ってきた業界の「暴れん坊」 」だそうです。
この記事では、”現状は「3月期本決算を控える4~5月は徹夜や休日出勤が当たり前。ブラック企業と言われても仕方ない」(あずさ幹部)のが実態”とされています。この幹部のコメントは労基署の力を借りたいということなのか、あるいは、採算の悪いクライアントを切るための布石なのか、よくわかりませんが、被監査会社の側からしても、このような状況下では質の高いサービスを求めることもできないと思われますので、監査法人の変更を検討する必要があるのかもしれません。
話を本題に戻すと、2017年10月末までの新規上場62社からテクニカル上場2社と外国株1社を除いた59社の監査法人別の内訳を集計してみたところ以下のようになっていました(詳細は最後に表を掲載していますのでそちらをご確認ください)。
トーマツ 18社
新日本 15社
あずさ 12社
太陽 5社
その他 9社
トーマツのIPOが強い傾向は相変わらずです。新日本は色々あった割に(色々あったから?)がんばっています。あずさも12社と好調ですが、新規受注停止ということなので、2年後くらいから影響がでてくることが予想されます。なお、IFRS上場は4社となっています。
経営財務の記事によると、市場別の件数は以下のとおりとなっています(テクニカル上場等を含む)。
東一 5社
東二 8社
東マ 37社
JQ 12社
また、業種別には、情報通信業が17社、サービス業が15社、小売業が8社、昨年、一昨年と同様の傾向にあるとされています。
2017年11月末のでIPOについて、直近の売上高、経常利益(IFRS適用会社は主要な経営指標の推移で開示されている利益)、監査報酬等は以下のとおりとなっていました。2017年12月にSGホールディングスという大型上場が控えていますが、全体の件数としては昨年の86社よりも少なくなるようです。