適時開示PDF資料のプロパティに要注意
経営財務3337号のミニファイルに「適時開示PDFのプロパティ」という記事が掲載されていました。
適時開示で提出されるPDFファイルの中、作成者や会社名、タイトルなどの文書のプロパティが含まれていることがあるので、適時開示する前に注意しましょうという内容です。
上記の記事によると、”取引所によれば、これらの情報は「情報管理の観点からは、あらかじめ,上場会社の側で適切に削除・修正等の対応をいただくことが望ましい」”とされています。
記憶があいまいですが、開示するPDFファイルから不要なプロパティを削除しましょうというのは、証券印刷の書類提出マニュアルのようなものに記載されていたように思います。
会社情報適時開示ガイドブックを確認してみましたが、情報管理に注意しましょうという記載はあるものの、提出するファイルのプロパティについては特に記載はされていないようです。故に「情報管理の観点から」各社が自分でチェックしましょうということになるのだと思われます。
基本的にPDFファイルのプロパティは、プロパティに余分な情報が含まれないかを見に行かなければ気づかないものでありますが、比較的よくあるのが、Tdnetの開示書類をブラウザ上で開くとタブに日付が表示されることで、余分な情報が含まれたファイルであるということがわかってしまうというものです。
Tdnetで開示されるファイルの名前は、Tdnet側で変換され数字で表記されますが、PDFファイルのプロパティに日付が入っているとそれがタブに表示され、見ている方は「?」ということになります。
ためしに、本日開示されていた適時開示情報を確認していってみたところ、価値開発(株)の「シンジケートローン契約締結に関するお知らせ」というPDFのファイルがブラウザのタブに「平成14年8月23日」と表示されていました。
確認してみるとやはりPDFのプロパティに余分な情報が残っていたことによるものでした。ちなみにさらに確認していって見ると他にも該当する会社がいくつかありましたので、比較的よくある事象といえます。
実務的にこのような適時開示を行うときには、外部からひな形のようなものを入手して加工するケースが多く、そのファイルに余分な情報が含まれていたことに気づかずそのままPDF化して開示してしまったというものだと思われます。
それほど問題となることはないと思われるものの(作成者が漢字フルネームで残っているようなのはさすがにまずいと思いますが・・・)、好ましいことではないので注意しましょう。
これと同じような観点でいえば、開示されている短信等のPDFが作成された日付も、開示する側からすると注意すべき点かもしれません。たとえば、開示された短信のPDFデータの作成日と開示日が大きく開いている場合、投資家サイドからすれば、もっと早く開示しろという要請につながる可能性は否定できませんし、重要な情報の開示が遅れたのではないかという疑念にもつながりかねません。
データを作り直すと何らかのエラーが生じる可能性もあるので、前もって作成したデータでFIXしたのであればそれを使用したいという気持ちはよく分かりますが、適時?と言われないように注意が必要です。