電子申告義務化は平成32年4月1日以後開始事業年度から
平成31年度から義務化されるといわれていた法人税や消費税などの電子申告義務化ですが、政府・与党は平成30年度税制改正によって国税・地方税ともと平成32年4月1日以降開始する事業年度からと決定したとのことです。
システム対応などにも時間がかかることなどに配慮して実施を1年先延ばししたようです。
また、電子申告義務化の対象は、資本金1億円超の法人が対象となるとのことです。行政コストの削減という観点からすれば、すべての法人に電子申告を義務付ければよいと思われますが、システム対応等のコストを勘案すると、とりあえず資本金1億円超からはじめようということなのだと考えられます。
連結納税を採用している場合はどうなるのかですが、この場合は、連結親法人の資本金で判断することになるとのことです。資本金が1億円以下であっても、規模が大きい会社は多くあるので、消費税の免税事業者の判定のように、そのうち売上高や所得金額などの基準によって対象が広がっていくことが予想されます。
従来、電子申告を行っていない企業からすると、面倒に感じると思いますが、義務化にともない配慮されている部分もあります。
例えば、「電子申告の義務化に伴い、勘定科目内訳明細書の記載内容が簡素化(量的・質的)され」、「財務諸表、勘定科目内訳書についてはエクセルベースのCSVが認められることになった」(T&A master No.718「電子申告義務化、中小法人は対象外」)とのことです。
また、電子申告で送信するイメージデータ(PDF)については、紙原本保存が不要とされるものの、イメージデータの解像度要件は設けられるとのことです。
このほか、これを機会に経理責任者の自署押印制度が廃止され(結果として、電子申告が義務化されない法人でも不要となる)、「電子署名については、「法人の代表者から委任を受けた当該法人の役員・社員による電子署名」も可とする」とされるとのことです。大法人において、代表者が自ら申告データを送信するなんてことはないでしょうから、現実を踏まえると当然と思われます。
また、サイバー攻撃、災害、経営の破綻などでインターネット利用ができない場合は、例外的に書面での申告を認める宥恕規定が設けられるとのことですが、宥恕規定に該当しない場合は無申告の扱いになるとのことです。
市販されている申告ソフトを利用しているのであれば、システム的に電子申告対応が問題となることはあまりないのではないかと思いますが、電子申告になっても、結局紙で打ち出してチェックして、データを提出するということになると、ものすごく無駄な感じがするので、チェックをどのように行うかというような業務フロー面での見直しが重要になるのではないかと思われます。