重加算税の対象となる「特段の行動」とは
少し前のT&A master(No.725)に”確定申告期に再確認、重加算税の「特段の行動」”というニュース特集が掲載されていました。
既に確定申告が終わったという方もいると思いますが、後で後悔しないためにも、改めて確認しておくこととしました。
まず、重加算税賦課の適否が争いとなった場合には、最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決の法令解釈が引用されることが多いとのことです、
この平成7年の最高裁判決の法令解釈は、「国税通則法68条1項の解釈は、重加算税を課すためには、過少申告行為そのものが隠蔽、仮装に当たるだけでは足りず、それとは別に隠蔽・仮装と評価すべき行為の存在が必要である。しかし、重加算税制度の趣旨に鑑みれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまでは必要ではなく、納税者が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税を賦課できる」というものです。
この最高裁の判決では、確定申告書の作成を依頼した税理士から、株式等の売買による所得の無について質問を受け、資料の提出を求められたにもかかわらず、確定的な脱税の意思に基づいて、その所得があることを同税理士に秘匿し、過少な所得の申告書作成させたことが「当初から所得を仮称に申告することを意図した上、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動に」あたると判断されたとされています。
T&A masterの記事によれば、”課税当局は、最高裁平成7年判決で注目すべきは申告書の作成を依頼した関与税理士に対する隠蔽行為を「(過少申告の)意図を外部からもうかがい得る特段の行動」として、通則法68条1項の隠蔽または仮装と同等に評価すべき行為として位置づけていることであると指摘している”とのことです。
したがって、顧問税理士に虚偽の内容を伝えていると、場合によっては重加算税まで課せられる可能性があるという点は理解しておいたほうがよいでしょう。一般人からすると課税関係が生じるのかどうかわからないということもあるかもしれませんが、基本的には何かで利益を得れば税金がかかるかもしれないと考えるのが自然といえば自然ですので、知らなかったで済ませてくれるとは考えない方がよいと思われます。
最近でいえば、仮想通貨の売買で利益を得ているような場合、聞かれなかったから言わなかっただと、「(過少申告の)意図を外部からもうかがい得る特段の行動」ととらえられかねないので注意しましょう。
確定申告がすでに終わったという方もいると思いますが、まだの方も、きちんと申告をすることをおすすめします。