「預り金。ただし株主、役員又は従業員からの預り金を除く」とは
以前書いたことがあるような気がしたのですが、どうやら気のせいだったようなので、今回は財務諸表等規則第49条1項十号に規定されている「預り金。ただし、株主、役員又は従業員からの預り金を除く。」についてです。
たまにある質問が、「ただし、株主、役員又は従業員からの預り金を除く」ということは、源泉所得税や社会保険料の預り金は「預り金」に含めてはならないということですかというものです。
結論としてはそんなことはありません。
理由は、財規ガイドライン49-1-10に以下のように記載されているためです。
49-1-10 規則第49条第1項第10号の預り金の項目を示す科目には、規則第47条第5号の預り金及び同条第6号のその他の負債に含まれる預り金並びに当該会社が源泉徴収した役員又は従業員の所得税等について記載するものとする。
上記より、従業員から預かった源泉所得税は「預り金」に含めて問題ありませんし、「等」とされていますので、同じような性質の社会保険料の預り金も「預り金」に含めて問題はありません。
それでは、ここでいう、「株主、役員又は従業員からの預り金」はどのようなものかですが、49-1-10では、以下のように記載されています。
なお、規則第49条第1項第10号ただし書の規定により除くこととされている株主、役員又は従業員からの預り金には、役員又は従業員の社内預金等が含まれる。
上記から、典型例としては「社内預金」が該当することとなります。労働法でも教科書的には「社内預金」というものがよく登場するのですが、個人的にいままで社内預金をやっている会社に遭遇したことはありません。そこで、ネットで検索してみたところ、上場会社では東京電力やヤマト運輸などが福利厚生の一環として社内預金を実施しているという情報が見つかりました。
個人的には、「社内預金等の預り金を除く」くらいにしてもらうとわかりやすいのにと思いますが、おそらく変わることはないので、とりあえず社内預金にだけ注意しておけばよいのではないかと思われます。