会社法施行規則及び会社計算規則の改正(2018年3月)
経営財務3354号のニュースで会社法施行規則及び会社計算規則の改正について記載されていましたので、主な改正内容を確認します。
会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(平成30年法務省令第5号)は、2018年3月26日に公布され、施行されています。
今回の主な改正点は以下の二つとのことです。
- 事業報告における「株式保有割合が上位10名の株主に関する事項」の記載時点を事業年度末日ではなく議決権行使基準日とする。
- 繰延税金資産は「投資その他の資産」として、繰延税金負債は「固定負債」として区分して表示するものとする。
1点目は3月決算会社が株主との対話の観点から7月以降に株主総会を開催しようとした場合、会社法上は基準日の効力が3箇月という縛りがあるため、事業年度末日と基準日が分離し、開示目的と総会目的で株主を2回確定しなければならないという手間(費用)が生じると言われていた点に配慮した改正となっています。
事業報告上も、議決権行使基準日を基準として記載すればよいとされたことにより、総会の基準日が事業年度末日でなくても、株主の確定は一度で済むようになりました。とはいえ、3月決算会社で7月以降に株主総会を開催する会社は、まだほとんどないようですので、あまり気にする必要はないと思われます(有報の大株主の状況での自己株式の計算上の取扱いが変更になっているという点の方が影響があると思われます)。
2点目の繰延税金資産、負債の表示に関する改正です。3月決算会社における原則適用は来期からのはずなのにと思いましたが、この改正の適用時期については以下の経過措置が設けられていました。
(会社計算規則の一部改正に伴う経過措置)
第三条 この省令による改正後の会社計算規則(以下「新会社計算規則」という。)の規定は、平成30年4月1日以後開始する事業年度に係る計算書類及び連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例による。ただし、同年3月31日以後最初に終了する事業年度に係るものについては、新会社計算規則の規定を適用することができる。
したがって、改正は施行済であるものの、3月末決算会社を前提とすると、2018年3月期は従来通りの表示で問題ないということになりますし、早期適用を選択した場合も問題ないという定めになっています。
繰延税金・負債の表示だけであれば早期適用を選択したいところですが、早期適用する場合は、注記部分もセットで早期適用しなければならないとされている点には注意が必要です(このタイミングで早期適用を思い立って実行するという可能性は低いものの、単体決算会社であれば有り得るかもしれません)。