短期滞在者免税の日数カウントの期間
いわゆる183日ルールといわれるものですが、これは租税条約上の取扱いで、一定の要件を満たせば所得源泉地国での税金が免除されるという取扱いとなっています。
短期滞在者免税の対象となるかどうかは日数ですべてが決まるわけではないので、対象国との租税条約の内容をきちんと確認する必要がありますが、183日ルールという部分をよく耳にするのも事実です。
183日というのは1年の半分以上いなければという意味で理解しやすいのですが、日数についても183日ではないケースもあるので、注意が必要です。
さて、この183日という日数のカウントですが、いつからいつまでで183日なのかという点が問題となります。海外だからなんとなく暦年だろうと考えてしまいそうですが、実際には大きく以下の二つのパターンの租税条約が存在します。
1.暦年でカウントする租税条約
1月1日~12月31日で区切って、租税条約で定める日数(183日であることが多い)を超えないかどうかで判定するものです。中国、ベトナム、タイなどとはこのタイプの租税条約が締結されています。
2.継続する12ヶ月で判定する租税条約
その課税年度において開始または終了するいずれの12ヶ月間においても、給料等の受領者による勤務地の滞在期間が合計183日を超えないかどうかで判定するものです。アメリカ、イギリス、香港などとはこのタイプの租税条約が締結されています。
「開始または終了するいずれの12ヶ月間」というとわかりにくいですが、連続する12ヶ月で考えて所定の日数を超えないかどうかで考えるということになります。
暦年は比較的考えやすく注意もしやすいですが、連続12ヶ月の方は、特に一度帰国して再度渡航するような場合に気付かずに間違えてしまうということが考えられますので、特に注意が必要ではないかと思います。
なお、滞在期間は物理的な滞在日数の合計によるものと解されていますので、入国日、出国日を含めてカウントすることとなります。
そこまで日数を心配しなくてもよいことがほとんどだと思いますが、海外事業の新規立ち上げ等で同国に3ヶ月程度の出張を2回すれば、連続12ヶ月で判定される場合に引っかかるということも想定されますので、そもそもどのような単位でカウントされるのかも含め、まずは対象国との租税条約を確認してみるということが重要だと思われます。