その他有価証券の月中平均価額が認められなくなるようです
ASBJが現在IFRS13号「公正価値測定」を取り入れた時価に関する会計基準及び適用指針を開発中である旨の記事がT&A master No.755に掲載されていました。
この記事によると、月中平均価額はIFRS13号の時価の定義を満たさないため、その他有価証券の月中平均価額の使用が認められなくなる方向となっているとのことです。
そもそも期末の時価を月中平均価額とするということが認められているということ自体が記憶にありませんでしたが、金融商品会計基準(注7)に以下の通り記載されていました。
(注7)その他有価証券の決算時の時価について
その他有価証券の決算時の時価は、原則として、期末日の市場価格に基づいて算定された価額とする。ただし、継続して適用することを条件として、期末1カ月前の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができる。
この例外規定があることもすっかり記憶から抜け落ちていたくらいですので、この例外規定を実際に適用している会社を知りませんが、上記の記事によれば、ASBJが調査した上場会社3,603社中、月中平均価額を使用していた会社は90社にとどまっていたとのことです。
どんな会社が使っているのかについては、金融・保険業に多く見られるとされています。
なお、外貨建その他有価証券の換算で用いる為替相場について、決算時の時価として月中平均価額を用いる場合に、期末前1ヶ月間の平均相場と決算時の直物為替相場の選択適用が認められていますが、月中平均価額を用いることが認められなくなった場合には、為替相場についても期末前1ヶ月間の平均相場の使用も認めないことが考えられるとのことです。
そういった意味では、外貨建取引等会計基準(注8)において、決算時の直物為替相場として、決算日前後一定期間の直物為替相場に基づいて算定された平均相場を用いることができるとされていますが、この取扱いも見直されることになるのかもしれません。