SMBC日興証券の元社員がインサイダー取引関与の疑いで逮捕
2018年11月29日 18:09更新の日経電子版の記事によると、SMBC日興証券の元社員(30歳)がインサイダー取引関与の疑いで逮捕されたとのことです。
この元社員は、オフィス家具大手イトーキが2016年9月に実施したTOBを巡る情報(公表は2016年8月3日)を公表前に知人に漏らしたとして、金融商品取引法違反(情報伝達)の疑いで逮捕されたとされています。
そして、この情報を受けて実際に株取引を行った元社員の知人(30歳:無職)が、金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕されたとのことです。元社員からこの知人に対しては2016年7月27日ごろ、上記TOBの情報が伝たえられ、7月28日~8月3日までの間に情報を元にダルトン株29万6千株、約5300万円を買い付けた疑いがあるとされています。
SMBC日興証券はこのTOBのFAを務めていたとされていますが、インサイダー取引関与の疑いで逮捕された元社員がこの案件に直接関与していたのかどうかについては不明ですし、退職時期・理由についても不明です。
案件に直接関与していたのであれば、この元社員特有の問題だったという可能性もありますが、直接関与していないにもかかわらずTOBの情報を取得して知人に漏洩していたとなると、証券会社としての情報管理体制が問われるということになりそうです。
それにしても、27日に情報を得て、28日から約5300万円を株式に突っ込める30歳無職の知人というのはどんな人なのかというのは気になるところです。デイトレーダーが、このような場合「無職」扱いとなるのであれば、デイトレーダーの可能性が高そうですが、よからぬ筋の方という可能性も考えられます。
また、重要情報が公表された前後の怪しい取引は全件チェックすると豪語する証券取引等監視委員会がいることを考えれば、インサイダー情報に基づきTOB公表直前の数日で多額の株式を取得したらどうなるのかは火を見るより明らかと考えられます。元社員は、インサイダー取引により利益を得させる目的で情報を伝達した容疑で逮捕されたとされていますが、些細な規模であってもインサイダー取引として摘発される可能性はあるということを十分に理解していたはずなので、元社員がこのような取引に関与した理由が何であったのか今後の報道が待たれます。
元社員の行為とはいえ、仕事柄、SMBC日興証券は事後対応が大変そうです。