日立製作所が無期転換求めた社員に解雇通知。最近どこかで見た気が・・・
本日ヤフーニュースに「日立、無期転換求めた女性社員に解雇通告 申請後は異例」という朝日デジタルの記事が掲載されていたのが目にとまりました。
内容を確認すると以下の様なものでした(一部抜粋)。
日立製作所が、5年を超えて有期雇用で働き、無期雇用への転換を求めた40代の女性社員に対し、今月末での解雇を通告したことがわかった。「無期転換」は有期雇用で5年を超えて働く労働者に法律で認められた権利で、女性社員は昨年6月に「無期転換」を申請し、今年4月から無期雇用になる予定だった。日立は事業の縮小を解雇の理由に挙げているが、女性側は「無期転換逃れだ」として解雇の撤回を求めている。(以下省略)
なお、このケースでは無期転換を申し込んだ別の社員にも解雇通知を出したとのことです。
最近、これと同じような内容の記事をどこかで見た気がして確認してみると、労政時報3968号(2019年3月8日号)の相談室Q&Aに以下の様なQ&Aが掲載されていました。
Q 事業再編により従事する業務がなくなる場合の有期契約労働者の雇止めは有効か
次回の契約更新で契約期間が通算 5 年を超える有期契約労働者がいます。有期契約労働者は業務内容を特定して労働契約を結んでいますが、この度事業再編があり、当該従業員が従事する業務自体がなくなってしまいます。そこで雇止めをしたいと考えていますが、「無期転換逃れ」だとして訴えられる可能性を危惧しています。当社のケースでは雇止めは有効となるのでしょうか。また、問題とならないように雇止めするためには、どのように対応すればよいでしょうか。(東京都 F社)
これに対する回答は以下のとおりです。
A 従事する業務が現実になくなってしまう場合には雇止めは有効とされるべきであるが、対象労働者への事前の説明を尽くし、理解と同意を得るように努めるべきである
朝日デジタルの記事によれば、日立製作所が3月31日付での解雇を通知したのは今年2月とされていますので、日立製作所とは関係ないと思いますが、あまりにぴったりの内容だったので驚きました。
結論としては「真に事業再編により業務が失われる場合の期間満了による雇止めは、本来的に無期転換逃れの目的があるとはいえず、無期転換ルールの潜脱とされるべきではありません。会社は、対象労働社に対し、雇止めの理由を含む会社の経営事情を書面等を交えて事前に説明を尽くし、雇止めにつき当該労働者の理解と同意を得るように努めることが重要です」とされています。
日立製作所クラスの会社であれば、無期転換権が発生することは十分理解していたはずで、事業縮小という嘘をついてまで、無期転換逃れを試みることはないだろうという気はしますが、裁判で争うことになるのか注目です。