閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

平成30年度査察事案では121件が告発(うち41件は消費税)

2019年6月に国税庁から「平成30年度 査察の概要」が公表されました。

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公正な課税の実現と申告制度の維持に資することを目的とするとされています。

平成30年度においては、査察事案で121件が告発され、告発件数を税目別にみると法人税が55件で最多であるものの、これに消費税が41件でつづいています。平成26年以降の告発件数は110件~130件程度で推移していますが、消費税が41件は前年比14件増加と大きく増加しています。

消費税の告発件数は直近3年で23件、27件、41件と増加傾向にあるのに対して、法人税は79件、61件、55件と減少傾向にあります。このような傾向は、法人税はどちらかといえば支払う税額を少なくごまかすという方向であると考えられる一方で、消費税は架空の取引によって不正に消費税の還付を受けるなどより悪質であるためということかもしれません。

消費税の告発事案のうち16件は消費税受還付事案によるもので、「消費税の輸出免税制度などを利用した消費税受還付事案は、いわば国庫金の搾取ともいえる悪質性の高い事案」と述べられています。

告発した事案の例として挙げられてものの一つが「免税点(輸出物品販売場)制度を悪用した不正受還付事案」です。これは、以下の様な事案です。

A社は、高額な腕時計の仕入をれを装い架空仕入(課税取引)を計上するとともに、その商品を輸出物品販売場の許可を受けた免税点で外国人旅行者に販売したように装い、架空売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けようとしました。

上記は「受けようとしました」なので未遂だったと思われますが、平成30年度において、過去から最も多い8件の消費税不正還付の「未遂犯」が告発されたとのことです。

一消費者からすると、納税している消費税の一部が上記のような事案で不正に還付されるのは許せないので、どんどん取り締まってもらいたいところです。

このほか、消費税関連では国際事案の告発事例として「中古自動車の輸出販売を装った消費税受還付の長期事案」が紹介されています。これは以下の様な事案です。

G社は、中古自動車の仕入れに係る領収証及び虚偽の輸出許可通知書を作成し、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けていたほか、受けようとしました(一部未遂)。

どれくらいの税額であったのかは不明ですが、この事案は不正取引の解明に3年あまりを要したとされており、それなりに金額が大きかったのではないかと思われます。

消費税以外で個人的に目についたのは、「他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ税事案」の告発です。これは以下のような事案とされています。

Dは、外国為替証拠金取引(FX)により多額の利益を得ていたものですが、インターネットを利用した自動売買ソフトを用いて、数十もの他人名義で同取引を行うことにより所得を隠し、所得税の確定申告を一切せずに納税を免れていました。
なお、Dは過去においても所得税法違反の罪で有罪判決を受けていました。

過去における所得税法違反の罪がどのようなものであったのかはわかりませんが、数十もの他人名義の取引で多額の利益を得ていたというのはなかなかすごいなと思います。普通に申告すればいいのにと思ってしまいますが、FXの場合は株式と異なって多額の利益が生じれば税率も高くなるので、もったいなく感じたということなのでしょう。

ちなみに告発されたらどうなるかですが、査察事案で平成30年度注に一審判決が言い渡された件数は122件で、全てに有罪判決が出たとのことです。このうち実刑判決は7人に出されたとされ、査察事件単独に係るもので最も重いのは懲役4年6月、他の犯罪と併合されたもので最も重いものは懲役7年であったとのことです。

査察事件単独で最も重い懲役刑となった事案は以下のような事案です。

L社は、美容関連製品の輸出販売を行うものですが、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、不正に多額の消費税の還付を受けていました。
同社の代表者Mは、消費税法及び地方税法違反の罪で、懲役4年6月の実刑判決を受けました。

国が相手なので、上記のような行為を行っている人は、あまり罪悪感がないのかもしれませんが、冷静になって考えると単なる詐欺ですから、相当悪質であり、実刑判決も当然かなという気はします。

調査にかけることができる人員等は限られていると思いますが、悪質なものはどんどん取り締まってもらいたいと思います。

関連記事

  1. 平成27年度税制改正(その3)ー法人税関連

  2. 貸倒実績率算定方法の経過措置-一定の債権等を有する法人の場合

  3. 所得拡大促進税制の確認(その5)-平均給与等支給額

  4. 電子取引データ保存、紙でも受領する場合の取扱いが明確に

  5. タワーマンションによる節税には要注意

  6. 「税務署は見ている」-元国税調査官 飯田真弓著




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,850,588 アクセス
ページ上部へ戻る