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時価算定会計基準を確認

強制適用時期が1年延期されたので、しばらく放置しておこうかと思いましたが、少し時間があったので、「時価算定に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第63号)を確認してみることにしました。

まず、公開草案では2020年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するとされていましたが、2019年3月期の有価証券報告書セミナーにおけるASBJの方の説明によれば、システム対応に要する時間などを考慮し、強制適用は2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとなるとのことです。

ただし、2020年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度から早期適用することも認められるとのことです。なお、投資信託の時価については、時価算定会計基準公表後に検討されるとのことです。

時価算定会計基準の適用範囲

時価算定会計基準が適用されるのは、金融商品会計基準における金融商品及び棚卸資産の評価に関する会計基準におけるトレーディング目的で保有する棚卸資産とされています(基準3項)

時価とは?

時価の定義については、「算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格をいう」とされいます(基準5項)。

時価の定義についてはIFRS13号「公正価値」と整合的なものとされ、算定日における価格、市場を基礎としたもの、出口価格という考え方がとられています。

これにより、現行の金融商品会計基準18項(注7)「その他有価証券の決算時の時価」で継続適用を前提に認められている、期末日前1カ月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を時価として用いることができる旨の規定は削除されることとなっています。

時価算定の単位は?

時価の算定を個々の資産又は負債を対象とするのか、資産又は負債のグループを対象と対象とするのかについては、個々の会計処理又は開示を定める会計基準によるとされています(基準31項)。なお、金融商品については、通常、個々の金融商品が時価算定の対象となるとされています。

時価算定の方法?

時価の算定にあたっては、状況に応じて十分なデータが利用できる評価技法を用いることとされ、例えばマーケット・アプローチやインカム・アプローチを用いるとされています。その際、関連性ある観察可能なインプットを最大限利用し、観察できないインプットの利用を最小限にするとされています(基準8項)。

ここで、時価算定に使用するインプットが、レベル1からレベル3に区分され、レベル1から優先的に用いるものとされています(基準11項)。

レベル1のインプットは、時価算定日において、企業が入手できる活発な市場における同一の資産又は負債に関する相場価格であり調整されていないものとされています。レベル1のインプットには例えば、上場株式の時価などが該当します。

レベル2のインプットは、資産又は負債について直接又は間接的に観察可能なインプットのうち、レベル1のインプット以外のインプットをいうとされています。レベル2のインプットは、資産又は負債の契約期間のほぼ全体を通じて観察可能であるインプットとされ、例として以下のものがあるとされています(適用指針12項)

  1. 活発な市場における類似の資産又は負債に関する相場価格
  2. 活発でない市場における同一又は類似の資産又は負債に関する相場価格
  3. 相場価格以外の観察可能なインプット
  4. 相関係数等に基づき観察可能な市場データから得られる又は当該データに裏付けられるインプット

上記でも、すぐにこんなものというのは理解しにくいですが、例えば金利スワップの時価算定における全期間にわたり観察可能なスワップレートなどがレベル2のインプットにあたるとされています(適用指針36項(1))。

最後にレベル3のインプットとは、資産又は負債について観察できないインプットをいうとされています。これには、オプションの時価算定におけるヒストリカル・ボラティリティがあたるとされています(基準38項(2))。ヒストリカル・ボラティリティは市場で観察できるのではないかと思いましたが、「ヒストリカル・ボラティリティは、オプションの価格に利用できる唯一の情報であるとしても、将来のボラティリティに対する市場参加者の現在の期待を表すものではない」ためレベル3に該当するということです。

そして、時価の算定に重要な影響を与えるインプットが属するレベルに応じて、レベル1の時価、レベル2の時価、レベル3の時価に分類することとされています。なお、時価算定にあたり、レベルの異なる複数のインプットを使用しており、時価の算定に重要な影響を与えるインプットが複数含まれるときは、優先順位が低いほうのレベルに分類することとされています(基準12項)。

第三者から入手した相場価格の利用

時価算定会計基準では、「取引相手の金融機関、ブローカー、情報ベンダー等、第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断する場合には、当該価格を時価の算定に用いることができる」とされています(適用指針18項)。

ただし、「第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断する場合」とされているので、当該判断が必要となり、具体的には以下のような手続きを行うことが考えられるとされています(適用指針42項)。

  1. 当該第三者より、時価の算定に用いた評価技法とインプットの内容を入手する。
  2. 1.で入手したインプットについて、算定日の市場の状況を表したものであるか、観察可能なものが優先して利用されているかを確認する。
  3. 1.で入手した評価技法がそのインプットを十分に利用できるものであるか確認する。
  4. その他、状況に応じて次のような手続きを実施する。
    1. 他の複数の第三者から基準に従って算定がなされていると期待される価格を入手できる場合、他の第三者から入手した価格と当該第三者から入手した価格を比較し検討する。
    2. 企業が算定した理論値と当該第三者から入手した価格とを比較し検討する。
    3. 企業が保有しているかどうかにかかわらず、会計基準に従って算定されている類似銘柄(同じアセットクラスであり、かつ同格付銘柄など)の価格と比較する。
    4. 過去に会計基準に従って算定されていると確認した当該金融商品の価格の時系列推移の分析など商品の性質に合わせた分析行う。

なお、上記の手続きは例示であり、全てを実施する必要はなく、各企業が状況に応じて適切な手続きを実施することが考えられるとされています。

早期適用を目指すのでなければ、ざっくりとした理解としては上記程度をなんとなく頭に入れておけばよいのではないかと思います。

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