退職給付債務ー割引率がマイナスは28社(2019年3月期)
経営財務3148号のニュースに「マイナス金利のその後」という記事が掲載されていました。
この記事では、2019年2月以降マイナス金利の状況が継続している中で、退職給付の会計処理で使用する割引率がどうなっているのかについて調査した結果が掲載されていました。調査対象は、日本基準を採用している3月決算の上場会社の有価証券報告書における割引率を調査したとされています。
割引率がレンジで記載されている場合の下限がマイナスの場合も含めた結果、2019年3月期に退職給付関係の注記において、マイナスの利回りが記載されていたのは28件であったとのことです。
2017年3月末および2018年3月末の10年国債の利回りはプラスであり両年ともマイナスの利回りが記載されていたのは13件とされています。10年国債の利回りがマイナスであった2016年3月期にマイナス利回りが記載されていたのは27件で、2016年3月期と比較すると1件の増加となっていますが、大きな変動はないため、以前マイナスの利回りを記載していた会社が継続してマイナスの利回りを採用しているものと推測されます。
なお、実務対応報告では、マイナス金利の場合、マイナスをそのまま使用することも、ゼロとすることも認められていますが、2019年3月期の有価証券報告書で割引率をゼロと表示した会社数は99社とのことです。ゼロ表示の会社数は、2016年3月期:86社、2017年3月期:76社、2018年3月期:81社と変動しており、2019年3は約20社の増加と大きく増加しています。
実務対応報告37号は当面の間適用されることとされています。マイナス金利の幅が拡大すれば当然、再度検討が行われることとなると思いますが、マイナス金利が継続し割引率をゼロとする記載が多くなってきた場合も見直しが検討されるかも知れません。