フリンジベネフィット開示に変化の兆しがあるらしい
T&A master No.803に「フリンジベネフィット開示に変化の兆し」という記事が掲載されていました。
2019年3月決算にかかる有価証券報告書から役員報酬関連開示の充実が図られており、報酬決定方針、報酬実績と業績の関係、報酬委員会などに関する事項の開示が求められるようになっています。
ただ、この記事によると「報酬等の決定過程における任意の報酬委員会等の活動内容」の開示が求め求められているが、「“形だけは”任意の報酬委員会を設置したものの、実質的には活動していなかったことから、活動内容の開示に苦慮したとの話も聞こえてくる」とされています。まあ、そうだよねと変に安心してしまいますが・・・
さて、役員報酬に関連する記載の充実が図られた中で、一部の企業で注目を集めているのがフリンジベネフィットの開示とのことです。カルロスゴーン元日産自動車会長の逮捕をきっかけにフリンジベネフィットに注目が集まっており、一部の上場企業は、現金報酬等にフリンジベネフィットを加えると金商法上個別開示が求められる1億円以上となる場合、フリンジベネフィットを開示しないことにリスクを感じているとのことです。
フリンジベネフィットが会社法上の役員報酬にあたるかどうかは、通常、税務上それが役員給与として課税対象となるかにより判断しているとされています。基本的には税務調査をうけても役員給与とされない範囲であれば、フリンジベネフィットといっても常識的な範囲のものであることが通常だと考えられます。ただ、一方で、うまく税務上問題とならないようにしているものの、一般的にそれってありなの?という感じのものがないとも限りません。
そういった意味で、線引きが曖昧な部分もあると考えられますので、今後このような開示が求められるようになるのかもしれません。