リース基準・・・参考人より日本の不動産賃貸借の特殊性に考慮が望まれるとの意見
ASBJが2019年10月8日に開催した第89回リース会計専門委員会では、一般社団法人不動産協会の参考人から意見を聴取し、オフィスなどの不動産リースに関する検討が行われたとのことです(経営財務3428号)。
そして参考人からは、「日本では中途解約が可能であり、近似した契約でも企業間で契約期間に大きな差異がでて、比較が困難になる可能性がある」、「新しいリース基準を策定する場合、日本の不動産賃貸借の特殊性や法的観点を考慮したものが望まれる」等の意見が出されたとのことです。
欧米の建物のリースと比較すると日本の不動産賃貸借の慣習は特殊な点が多いので、IFRSの発送を日本の実務に当てはめるのは無理があるとのことですが、そもそも、どのような点が異なるのかについて、上記の記事では以下の点が挙げられていました。
①契約期間
一般的に日本は2年に対して、欧米は5年~10年またはそれ以上とされています。この点、個人的な感覚としてはある程度の規模のオフィスは3年か5年が多いような気はしますが、5年を超える期間というのはあまり見た覚えがありません。
②修繕義務
日本では貸手に対して、欧米ではテナントからの共益費と貸手の保険料(借手が免責按分で負担)で対応するとされています。これは結果的に双方とも貸手が負担しているというで実質的に大きな差はないといえそうです。
③借手からの解約
日本は通常6カ月前の予約で中途解約可能であるのに対して、欧米は契約期間中は原則禁止で、解約する場合はペナルティを負担することとされています。
④サブリース
日本では借手の転借が禁止されていますが、欧米では貸手の承諾は必要なものの通常可能とされています。欧米では転借可能なんだというのが驚きですが、契約期間が長く解約不能で原則解約不能であるものの転貸が可能であれば、場合によっては利ざやを稼ぐことも可能なのかもしれません。そうであれば、資産計上するというのもなんとなく腑に落ちる気はします。
最終的には決まったことに従うしかないわけですが、無駄に情報収集等に時間も超すともかかるようなことはないことを祈ります。