管理監督者に深夜割増手当を支給していないが8.9%
労政時報3980号に「2019年度労働時間総合調査」の結果が掲載されていました。
この調査は、上場企業3655社と上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)1310社の合計4965社を対象としたもので、回答数は342社とされています。
この調査項目の一つに「役職位に対する時間外手当・深夜割増等の支給状況」というものがあり、この中で深夜割増賃金等の支給状況が調査されています。
その結果、管理監督者に対して深夜割増賃金等を支給しているかという点に対して、支給していないといういう回答が8.4%あったとのことです。
管理監督者に対しては労働時間、休憩及び休日に関する労基法の規定が適用されないため、労基法上、通常の割増賃金は支給する必要はありませんが、一方で深夜業に関する規制は適用除外となっていないため、深夜労働に対する割増賃金は支給しなければならないとされてます。
前述の通り、この調査の対象企業は非上場企業が含まれているものの、規模の大きな法人が対象とされており、かつ、回答が強制される訳ではないので、後ろめたいことがあれば回答しないという選択をしそうな気はします。そう考えると、管理監督者に対しては深夜業も割増賃金の支給が不要だと勘違いしている会社が大企業といえども約1割存在するということなのかもしれません(もちろんわかっていならがら正直に回答しただけかもしれません)。
ちなみに、働き方改革が騒がれている中で、労働時間はどうなっているのかですが、2018年度の年間総労働時間は、全産業平均で2061.2時間とされています。内訳は年間所定労働時間が1911.47時間、時間外労働の実績が232.7時間、年次有給休暇の取得日数が10.6日とされています。前年の調査における年間総労働時間は全産業平均で2062.0時間とされていましたので、この調査結果からすると、労働時間についてはいまのところあまり変化は見られていないといえます。
メキシコ、韓国、米国のように日本よりも労働時間が長い国がある一方、フランス、デンマーク、ドイツのように日本よりも労働時間がかなり短い国もあります。労働時間を減らそうとか有給取得率を上げようというのは、それはそれで構いませんが、結局のところどんな国を政府が目指しているのかがよくわからないというのが問題なのだと思われます。
京都大学大学院の藤井聡教授によると、多くの国民の想像をはるかに上回る速度で、激しく「衰弱」し続けているのだそうです。
で、以下の様なグラフが示されています。
(出典:「99%のための経済政策フォーラム」HP掲載資料より」
上記は1995年~2015年までの20年間であり、1998年~2018年でみたらまた少し違っているかもしれませんが、それにしても日本だけ唯一マイナスというのは結構すごい図表です。この図表で日本の次に成長していないのはドイツですが、そうはいってもドイツは+30%ですから・・・