消費税、社宅用建物等の取得費の区分誤りに要注意
税務通信でシリーズ化して掲載されている「大企業経理マンでも見落としがちな消費税項目」の第5弾は、「社宅用建物等の取得費の区分誤り」についてでした。
一時期は経費削減として社宅や社員寮が減少傾向にあったものの、近年では人材獲得競争が加熱する中で福利厚生施設の充実ぶりをアピールすべく、社宅や社員寮が増加傾向に転じているとのことです。
そして、「社宅用建物等の取得費について”全額”が仕入在学控除の対象とならないにもかかわらず誤って控除の対象とし、申告しているケースが散見されるようだ」と述べられています。
借り上げ社宅を飛び越えて、自社で建物等を取得して社宅や社員寮にするというのは、まさに大企業での話だと思いますが、大企業といえども社宅や社員寮用に建物を取得するという機会は頻繁にあるわけではなく、経理担当者にとってもその処理を担当する機会は稀だと思われます。
そのため、社宅や社員寮の建物の取得に係る消費税については、直感的に共通対応の課税仕入としてしまうというのも頷けます。しかしながら、取得した建物を有償で従業員等に貸し付ける場合には、会社が受領する住宅家賃収入は非課税売上であるため、建物の取得費にかかる消費税は非課税売上対応の課税仕入れに該当することとなり、仕入税額控除の対象とはならないということになります。
これを誤っているケースが多いとのことです。
ちなみに、社宅や社員寮の維持にかかる用途区分についても基本的な考え方は同様とされ、”従業員等から賃料を徴収している場合は「非課税売上にのみ要するもの」となり、無償で貸し付ける場合は「課税売上げと非課税売上に共通して要するもの」に分類することとなる”とのことです。
実際、処理に直面する機会はあまりないと思いますが、間違わないよう頭の片隅においておくとよいと思われます。