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パワハラ対策義務化の確認(その2)

パワハラ対策義務化の確認(その1)“の続きです。

今回は、”事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上管理上講ずべき措置等についての指針”の主な内容を確認しておきます。非常に長い名前ですが、「パワハラ指針」と呼ばれていることが一般的だと思われます。

1.パワハラの定義(再確認)

前回の最後でパワハラ指針で示されている「職場におけるパワーハラスメント」の定義を確認しましたが、改めて記載しておくと以下のとおりです。

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③の要素をすべて満たすものをいう。

そして、指針ではこの後に”なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。”と述べられています。

定義上「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」とされているので、敢えて記載する必要も無いはずですが、「受け手がパワハラと感じたらパワハラじゃないんですか?」というようなことを真面目に訴えてくる従業員も皆無ではありませんので、個人がどう感じようとも「客観的にみて」どうなのかで判断されるのだとしっかり反論できるように理解しておくべきポイントだと思われます。

2.「職場」とは?

「職場」とは、事業主が雇用する労働者が遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれるとされています。

典型的には出張先もここでいう「職場」に含まれるということになりますが、一方、飲み会の席はどうなるのかは、その飲み会が業務に含まれるのかによってこの指針の範囲に含まれるのか否かが異なるということになると考えられます。もっとも、飲み会の席だからパワハラに気をつけなくてよいということではありませんので、基本的な考え方として仕事関係の付き合いはこの指針の範囲となるくらいに考えておくのがよいのではないかと思われます。

3,「労働者」とは?

「労働者」とは、いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用するすべての労働者をいうとされています。

パワハラは「優越的な関係を背景」に行われるものなので、一般的に雇用関係上、正規雇用労働者よりも上弱い立場にある非正規雇用労働者が含まれるのは当然だと思われます。では、派遣労働者はどうなるのかですが、結論としては、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務提供を受ける者についても、派遣労働者を雇用する事業主とみなされるため、事業主が雇用する労働者と同様にパワハラに対する措置を講じる必要があるとされています。

4.「優越的な関係を背景とした」とは?

これは、当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者とされる者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指すとされています。

典型的には上司が部下に対するもの、あるいは集団が個人に対して行うものですが、ここで面白いものとしては以下のものが例示されています。

同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該社の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行う者が困難であるもの

つまり、役職の上下関係は必ずしも必要ではなく、部下が上司からパワハラで訴えられるという可能性もあるというということです。

5.「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」とは?

近年はあらゆるハラスメントが話題とされていることもあり、パワハラと騒がれるのを懸念して上司が指導をためらうという話も耳にします。パワハラを恐れてきちんとした指導が行えないと、効率もあがりませんので、どのようなものが「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」ものと例示されているのかについてはしっかり認識しておく必要があると考えられます。

パワハラ指針で例示されているのは以下の行為です。

  • 業務上明らかに必要の無い言動
  • 業務の目的を大きく逸脱した言動
  • 業務を遂行するための手段として不適当な言動
  • 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
  • そしてパワハラ指針では”この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業務・業態の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性等)そ総合的に考慮することが適当である”とされています。

    上記の様々な要素を総合的に考慮して社会通念上許容されるレベルかどうかで判断されるということですので、繰り返しになりますが、受け手がパワハラと感じたらパワハラというようなことではないという点をしっかり認識しておきましょう。

    6.「労働者の就業環境が害される」とは?

    当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指すとされています。

    そして、この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」を基準とすることが適当とされています。1対1を前提とした場合、周りの従業員からみて、あれは酷いよねというレベルかどうかということだと考えられます。

    今回はここまでとします。

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