株主総会を延期した場合の改選役員の任期はどうなる?
現時点においては、3月決算会社の多くは従来通り6月中に株主総会を開催する方向で考えつつも、株主総会を延期した場合の影響も念のため考えておく必要があるという状況にあるのではないかと思います。
株主総会自体の開催を延期する、計算書類等の報告だけ継続会を開催するという二段階で開催するという方法があるとされていますが、どちらの方法を採用するにしても、株主総会を延期した場合に、今回の株主総会で改選期にある役員や変更が予定されている会計監査人の任期はどうなるのかが問題となります。
特に取締役や監査役は基本的な任期が1年(2年)または4年である一方で、「〇〇年の定時株主総会の終結の時まで」となっているのが通常ですので、任期期間が優先されるのか、定時株主総会終結の時までが優先されるのかという問題です。
確認したところ、この点について、2020年4月13日に法務省が「商業・法人登記事務に関するQ&A」 で以下のように記載しています。
【Q】 今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,改選期にある役員(任期の末日が定時株主総会の終結の時までとされている取締役,会計参与及び監査役)及び会計監査人の任期はどうなるのでしょうか。
【A】 今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられます(「定時株主総会の開催について」参照)。
そのような場合には,改選期にある役員(任期の末日が定時株主総会の終結の時までとされている取締役,会計参与及び監査役)及び会計監査人の任期については,定時株主総会を開催することができない状況が解消された後合理的な期間内に開催された定時株主総会の終結の時までとなるものと考えられます。
代表取締役社長が交代するような場合に、当該社長の任期が満了してしまい、株主総会の議長を務められないということになると問題があるので、それはそうだよなと思う一方で、株主総会が終わるまでは交代が予定されている役員構成で取締役会等が開催されたり、常勤監査役が交代するような場合に、新監査役の監査期間に影響を与えるのはあまり望ましいことではないのではないかと思います。
結局のところ、そのような状況を望ましくないと考えるのであれば、やはり通常通りに株主総会を開催するか、決算が完了しないあるいは監査が終了しないというような場合は、2段階方式で最初に役員の改選だけは行っておくということになると思われます。
2段階方式は、手間暇を考えると採用する会社はほとんどないだろうなと思っていましたが、役員の入れ替えが予定されている改選があるというのは珍しいことではありませんので、監査が終了しないため6月までに株主総会が終結しないという場合には、比較的ありうることなのかもしれません。
いずれにしても監査が完了するか次第ということになりそうです。残高確認状がほぼ期限通りにかえってくることを祈ります。