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三菱UFJフィナンシャル・グループが会社法監査報告にKAMを記載

2020年5月29日に三菱UFJフィナンシャル・グループが、6月29日に開催予定の定時株主総会に向けて「招集通知」等のWEB開示を行いました。その中の「事業報告」および「法令及び定款に基づくインターネット開示事項」に記載されている独立監査人の監査報告書(2020年5月14日付)に監査上の主要な検討事項(KAM)が記載されていました。

同社はSEC登録企業なので、CANON等の事例から金商法の監査報告書にKAMの記載を早期適するというのはそれほど驚くことではありませんが、そもそも会社法ではKAMの記載が求められていないにもかかわらず、会社法の監査報告書にKAMを記載したというのは驚きです。

経営財務3461号の「会社法監査報告でKAMを記載」によれば、同社がこのような任意開示を行ったのは、”「国内外に多様なステーク・ホルダーが存在する当社の監査において、本制度の適用を意義のあるものとするため各制度間における一貫性の確保を重視」、「株主総会前にKAMを株主に提供することで、当社と株主との対話の実効性を高めることができると考えた」”ことなどによるとのことです。

前述の通り、KAMが強制適用となった後も、会社法の監査報告書にKAMの記載は求められていませんが、三菱UFJフィナンシャル・グループが前例となって、追随する会社がでてくるものと思われます。なお、経営財務誌の調査によれば6月10日時点で、会社法の監査報告書にKAMが記載されている唯一の事例とのことです。

さて、記載内容ですが、連結計算書類の監査報告書に記載されているのは、項目としては、「貸出業務における貸倒引当金の算定」と「買収・出資に伴うのれん及びその他の無形固定資産の評価」の2項目で「買収・出資に伴うのれん及びその他の無形固定資産の評価」は「(1)企業結合取引により計上した無形固定資産の評価」と「(2)バンクダナモンの取得により計上したのれんの減損処理の要否」の2つに細分化されています。

記載されている分量が全部で3ページ半程度と、かなりの分量が記載されています。長ければよいというわけでもないとは思いますが、これだけの分量を監査報告書のために書くのはなかなか大変な作業だと思われます。

バンクダナモンの件は昨年暮れに「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は30日、4月に子会社化したインドネシアの商業銀行大手バンクダナモンの株価下落により2074億円の減損損失を計上すると発表した。」(Bloomberg 2019年12月30日)などと報道されたこともあり覚えている方もいると思いますが、これに関連するKAMの「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」の一部を引用すると以下の様に記載されています。

なお、経営者は、上述の会計基準等に基づいてバンクダナモンののれんの減損処理を行うかどうかの判定を行った結果、減損処理は不要であると判断した。ただし、当該バンクダナモンののれんは、連結注記表の「連結損益計算書に関する注記4.」に記載されている通り、会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(日本公認会計士協会1998年5月12日 2018年2月16日最終改正)第32項の規定に基づき、当連結会計年度末において全額償却されている。

要約すれば、のれんの減損は不要だと判断したものの、全額償却されているということで、普通の人からすれば結局何なのという感じではないかと思います。財務諸表の注記も、複雑になればなるほど普通の人からすれば理解不能という項目が増えてきているような気がするのと同様、KAMも会計の知識がないと記載されていても何のこと?というケースが増えるではないかと思われます。

ちなみに、「連結損益計算書に関する注記4.」には以下の様に注記されていました。

4.「のれん償却額」は、会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(平成10年5月12日 日本公認会計士協会。以下、「資本連結実務指針」という。)第32項の規定に基づき、国内の連結される銀行子会社が保有するPT Bank Danamon Indonesia, Tbk.及びBank of Ayudhya Public Company Limited株式の市場価格下落を受けた減損処理に伴って、のれんを償却したものであります。

これを要約すれば、バンクダナモン等の株式を減損したことに関連してのれんを償却したということで、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」32項にはそのような処理が規定されています。

監査報告書を読むのも難しくなっていくということでしょう。このような長文のKAMが記載されている事例をみると、監査意見が最初に記載されるというのは、とりあえずそれだけわかればよいという株主にとって、ものすごく意味のある形式の変更なのだと改めて気づかされました。

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