欠損法人数が9年ぶりに増加も欠損法人割合は減少
T&A master No.836に掲載されていた「欠損法人数が9年ぶりに増加」という記事が目にとまりました。
2020年5月29日に国税庁が公表した平成30年度分の「会社標本調査」によると、連結子法人を差し引いた全法人272万5,293社のうち、欠損法人の数が169万2,623社(前年度比+0.3%)で、9年ぶりに増加に転じたというものですが、一方で、利益計上法人は103万2,670社で、欠損法人の割合は62.1%(同▲0.5ポイント)となっており、9年連続で減少しているとのことです。
記事では過去3年分しか記載されていなかったため、原データを確認したところ、平成20年度以降の利益計上法人、欠損法人の推移は以下の様になっていました。
9年ぶりに欠損法人が増加したという点については、特徴的ではありますが、社数ベースでみれば、利益計上法人が前年に対して25,813社増加しているのに対して、欠損法人の増加は5,524社と利益計上法人がネット約2万社増加していますので、前年からの変動という意味では、それほど大きな意味はないのではないかと思います。
なお、利益計上法人の営業収入金額は1,269兆268億円(前年度+2.6%)と3年連続で増加し、所得金額については69兆7,456億円(同+2.7%)で9年連続して過去最高となったとのことです。
寄附金支出額は7,940億円(前年度比+4.3%)で2年ぶりの増加、交際費等の支出額については3兆9,619億円(+4.0%)と7年連続で増加となっています。来年及び再来年に公表される調査結果において、交際費は減少に転ずることが予想されますが、どの程度の減少幅になるのか、そもそも利益計上法人数がどの程度減少するのかにも注目したいと思います。