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株式の非上場化・非公開化をめぐる裁判ー株主の請求を棄却

T&A master No.855のスコープで、上場会社の株式の非上場化・非公開化するための株主総会決議の取消を求めた裁判事例が掲載されていました。

これは、2019年2月12日まで東証ジャスダック(スタンダード)に上場していた光製作所の株式の非上場化・非公開化の手続をめぐって争われた事案とされています。

同社の株式の約93%を保有したいた主要株主らが、経営状況を踏まえ、同社を非上場化・非公開化するため、主要株主以外の株主が保有する株式を1株に満たない端数とする併合比率により株式併合を実施に向けた協議を会社に申し入れ、その後、臨時株主総会を招集し、株式併合及び単元株式の定めを廃止する定款変更の議案が可決されたとされています。

これにより、会社の株主は主要株主及び原告の一人のみとなり、それ以外の株主は1株に満たない端株の保有者となり、同社は上場廃止となりました。

株式併合後にも原告は株主であったことから、相当数の株式を保有していた株主だったということのようです。

この事案では、光製作所の当時の代表取締役のほか、6人の取締役のうち5人が主要株主である会社の取締役を兼務していたとのことです。さらに6人の取締役のうち5人(代表取締役を含む)は創業家の取締役であったとされています。

光製作所は、創業家取締役らが特別の利害関係を有しつつ、被告の立場において株式併合に関する株主らとの協議ないし交渉に参加したにもかかわらず、株主総会参考書類に、創業家取締役らが株主らとの協議等に被告の立場において一切参加していないとの虚偽の事実を記載したなどと主張して、株主総会決議の取消を求めたとのことです。

結論として、東京地裁は原告の請求を棄却しました

原告の主張である、虚偽記載に対して被告は、創業家取締役らは株式併合に係る協議・交渉及び取締役会における審議及び決議に一切関与することはなかったと主張しています。
裁判所は、「被告は株式併合の実施及び条件等の決定手続における公正性を担保するため、リーガル・アドバイザーとして弁護士事務所を選任して被告の取締役会の意思決定の方法及び過程等について法的助言を受けつつ、株主らとの協議等に臨んでいること、及び外部の独立した有権者を構成員とする第三者委員会を設置して、創業家取締役らが株式併合について利害関係を有することを前提として同委員会に対し意見陳述のみならず株主らとの交渉する権限も付与し、第三者委員会答申記載の意見を受けて取締役会において株式併合を株主総会に付議することを決議していることを照らせば、被告においては、株式併合に係る意思決定手続の公正性を担保するための措置がとられているべきであるとの判断を示した。」とのことです。

当時の開示資料を確認してみると、上記の点については以下の様な記載がなされています。

③ 当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由
当社は、上記「②親会社等による本株式併合の提案の経緯・目的」に記載のとおり、平成30年8月10日に親会社等から本株式併合の実施に向けた上記協議・交渉の申し入れを受け、下記「3. (4) 本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のとおり、本件端数処理交付見込額の公正性その他本株式併合の公正性を担保すべく、リーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任するとともに、本株式併合の提案を検討するための第三者委員会(当該第三者委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.(4)本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における第三者委員会の設置」をご参照ください。)を設置し、また、本件端数処理交付見込額の公正性を担保すべく、第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下、「みずほ証券」といいます。)を選任し、本株式併合に関する提案を検討するための体制を整備いたしました。また、第三者委員会は、当社及び親会社等から独立した第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下、「プルータス」といいます。)を選任しております

正直なところこの手の開示資料は、当時者でなければ読む気にならない位ボリュームがあるものなので、ちきんと読むことはあまりないですが、上記のような手続をきちんと踏むというのが重要であるということを確認する裁判例といえそうです。もっとも、上場会社が非上場化するような場合に、証券会社、弁護士事務所等を利用せずに処理を行うことはないとは思いますが・・・

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