改正電子帳簿保存法における電子取引情報保存制度による仕入税額控除に紙は必要?
税務通信3653号の税務の動向に「電子取引制度改正後の仕入税額控除の取扱いを確認」という記事が掲載されていました。
改正電子帳簿保存法における電子取引情報保存制度では、2022年1月以降の電子取引から、代替措置(紙出力による保存)が廃止され、原則通り電子データでの保存が義務付けられることとなっています。
しかしながら一方で、今年度の税制改正においても、消費税の仕入税額控除の要件は改正されていないため、原則として紙の請求書等の保存が必要となるとのことです。
これは、「現行の区分記載請求書等保存方式では、課税仕入れ等の事実の帳簿への記載、保存及び課税仕入れ等の事実を証する請求書等の保存が仕入税額控除の原則的な要件とされており、請求書等を電子データで受領した場合の規定」がないため、仕入税額控除の要件を満たすためには、原則として紙の請求書等を保存する必要があるということです。
これだとなんだそれ?という感じがしますが、これには続きがあって、「ただし、「電子取引」により受領した請求書等のデータを電子取引制度に従い電子データで保存している場合、仕入税額控除の要件を満たすために、さらに紙の請求書等を保存する必要はない」そうです。
「原則として紙の請求書等の保存が必要となる」とされながらも、何故このような結論になるのかは、”「電子取引」のようにデータ のみ が提供される場合”は、書面での請求書等の交付を受けなかったことに「やむを得ない理由」がある場合に該当するためだそうです。
ただし、この場合は、帳簿に記載すべき事項に加えて、「やむを得ない理由及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地」を記載して保存することが必要とのことです。いちいち「やむを得ない理由」を記載するというのはあまり考えられませんので、この辺はシステム的に✔をつけるというような対応になっていくのではないかという気がします。
紙は紙で、非常に便利な面もありますが、業種や会社の規模によって、1年分であっても保管場所の確保が結構大変ということもありますので、電子化を進めていくという会社が多いのではないかと思います。