監査工数の増加等を理由に監査人交代で大手が後任に
経営財務3510号の適時開示ニュースの一つに「4社で会計監査人の異動(5月31日など)」というものがありました。
4社の中の一つが外食チェーンを展開するフレンドリー(東二)に関するもので、仰星監査法人に代わり、有限責任監査法人トーマツが就任するとされています。
フレンドリーは、2018年6月に株式会社ジョイフル(福証)の子会社となっており、ジョイフルの会計監査人はトーマツなので、会計監査人を親会社と合わせるという意味ではよくあることではあります。
一方で、珍しいと感じたのは、現任の仰星監査法人の退任理由について、この記事では「同社に対する監査工数の増加等に対応することで、現状の生産性と品質の維持が困難になるため、任期満了をもって契約更新を差し控えたい旨の申出を受けた」と述べられていた点です。
通常このような退任理由の時に、大手監査法人が後任監査人として就任することは少ないと思います。親子会社で同じ監査人であっても、ジョイフル自身が上場会社ですので、監査としてやるべきことは基本的にそれほど変わらないと考えられることからすれば、監査には同じような時間を要すると考えられますので、原則的にこのようなケースを大手が引き取ることはあまりないと思います。
しかしながら、仮に連結財務諸表の一部を構成する上場子会社の監査を、親会社の監査人が契約できないと判断したとなれば、それはそれで連結財務諸表の監査上、子会社の監査に疑義が生じることとなりますので、親会社の監査人としては引き受けるという選択肢しかないということかもしれません。
同社の有価証券報告書によると、監査報酬は前期、前々期は15,700千円で据え置き、当期は総会招集通知によると17,300千円に増加しています。
監査人交代後、次期の監査報酬の水準にも注目です。