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出る杭はもっと出ろ!

22年3月期の事業報告書、従来よりも早期に作成が必要となる可能性がある?

2022年3月期から今年1月に改正された監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」により、「その他の記載事項」について監査報告書に一定の記載が求められることになっています。

監査報告書に記載されるという意味で、監査をする側からすると従来とは大きな変更ではありますが、今までも確認していたということも多いと思いますので、実質的な作業という意味ではそれほど大きな違いはないのではないかと思います。

監査基準委員会報告書720に示されている監査報告書の文例によると、「監査人が監査報告書日以前に全てのその他の記載内容を入手し、またその他の記載内容に関して重要な誤りを識別していない場合における、無限定適正意見の監査報告書」の場合は以下の様な記載が監査報告書になされることとなるようです。なお、記載箇所は「監査上の主要な検討事項」と「財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任」の間となっています(会社法計算書類の監査報告書ではKAMの記載がなされることは今のところ稀ですので、そういった意味では「監査意見の根拠」と「財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任」の間といったほうがよいかもしれません)。

その他の記載内容
その他の記載内容は、[対象となる報告書の名称]に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に
重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

会社法監査においては、事業報告及びその付属明細書が「その他の記載内容」に該当するとされています。いずれも監査対象ではないという取扱いに変更はありませんが、2022年3月期以降は、監査意見を表明しない場合を除き、「その他の記載内容」に対する作業結果を監査報告書に記載することが求められることとなります。

したがって、「監査人は、監査報告書日までに、➀監査対象となる計算書類等に対する監査手続に加えて、②その他の記載内容に対する作業等を完了する必要がある」とされています。(経営財務3512号”監査スケジュール、その他の記載内容」に係る作業を踏まえた検討を”)

これにより、会社によっては、会社法検査報告書の日が、従来のスケジュールよりも後の日程になることも想定されるとされています。

会計士協会からは「会社法監査に関与される会員におかれましては、高品質な監査を実施するための適切な監査期間の確保に向け、新年度の監査スケジュールについて、経営者や監査役等と監査計画策定時から十分なコミュニケーションを行うこと」等の留意事項が示されています。

個人的にはほとんど影響はないと考えていますが、事業報告提出のタイミングが早まること考えられますので、終わったばかりで考えたくはないと思いますが、作成者側としては今年度末の決算に向けて早めに確認しておくことは有用だと思われます。

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