ISDN廃止に伴う移行費用の税務上の取り扱い
税務通信3656号に「NTT東西のISDN廃止に伴う移行費用は一時の損金」という記事が掲載されていました。
一般的なインターネットユーザは、「ADSL」と同じくらい「ISDN」という用語も耳にすることがなくなって久しいのではないかと思いますが、現在においてもPOSシステムやEDIの多くは、NTT東日本・西日本が提供する「ISDN回線」を使用して稼働しているそうです。
このISDN回線は、すでにNTTが2024年1月以降廃止することを発表しており、ISDN回線を使用しているPOSシステムやEDIシステムは今後、インターネット回線への移行が必要となるとされています。
上記の税務通信の記事ではISDN回線をインターネット回線に移行するのに要した費用の税務上の処理がどうなるのかについて述べられていました。
結論からすると、特別な取り扱いがあるわけではなく、基本的な考え方として、少額であれば一時の損金として処理することができ、金額が一定金額以上となれば資産計上が必要となるという内容でした。
すなわち、単に回線をISDN回線からインターネット回線に移行するだけであれば、「少額なシステム改修費用等にとどまるため、税務上、一次の損金として処理できることが一般的」と考えられる一方で、回線移行を契機に大規模なシステム改修が行われるような場合の費用は、資本的支出として資産計上が必要となるとされています。
なお、回線移行に際し、システム改修を行った場合であっても、少額(20万円未満)であれば、「修繕費」として処理することが可能となっています(法基通7-8-3(1))。
7-8-3 少額又は周期の短い費用の損金算入
一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下7-8-5までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合には、その修理、改良等のために要した費用の額については、7-8-1にかかわらず、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
(1) その一の修理、改良等のために要した費用の額(その一の修理、改良等が2以上の事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当するものがある場合には、当該連結事業年度)にわたって行われるときは、各事業年度ごとに要した金額。以下7-8-5までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
(以下省略)
また、回線移行に伴い大規模なシステム改修を行う場合は、合わせて設備投資を行う場合も多いとのことですが、この場合、「その資産の種類や取得価額、性能等に応じて、各税制措置の適用対象となる」とされていますので、「中小企業経営強化税制」、「中小企業投資促進税制」などの適用をうけることができるかどうかについても注意が必要です。