YouTuberへのロイヤルティに係る源泉徴収は外税控除不可
少し前にYouTuberに源泉徴収が開始されるという報道がありましたが、税務通信3658号の税務の動向でこの件について取り上げられていました(「Googleがクリエイターへのロイヤリティの源泉徴収」)。
この記事によると、2021年6月より、Googleが米国の視聴者が動画を再生したことで生じるロイヤリティについて源泉徴収を開始するものの、日本のクリエイターは、日米租税条約により、Googleに対して税務情報を提供することで米国の源泉徴収が免除されるとのことです。
ただし、この税務情報の提供期限は5月31日までとされていましたが、「税務情報の提供を失念しているケースも少なくないようだ」とされています。
そして、税務情報の提供を失念して、米国で源泉徴収された金額については「確定申告で外国税額控除を適用することはできないものと考えられる」とされています。この場合、「日本と米国での二重課税が生じるおそれがあるため、Googleに対して本年12月31日までに税務情報を提供し、徴収された源泉徴収税の還付請求を行うべきだろう」とのことです。
今回の税務情報提供の要請は、YouTubeパートナープログラムに参加する全てのクリエイターになされていたようですが、これは、「米国の視聴者から生じたロイヤリティを得ていなくても、今後ロイヤリティを得た場合の源泉徴収率を決定するため」だそうです。
日本のYouTuberのうち、米国の視聴者から生じたロイヤルティが重要な金額の方がどれくらいいるのかは不明ですが、外税控除でなんとかなるんでしょという訳にはいかない可能性があるというのがポイントです。
何故外国税額控除がとれないのかについては、以下の様に解説されています。
外国税額控除では、その年分の所得税から控除できる一定の「外国所得税」の範囲から、”税を納付する者が、当該税の納付後、任意にその金額の全部又は一部の還付を請求することができる税”は除かれており(所令221③一)、Googelが徴収する源泉徴収税は、ここでいう”還付請求できる税”に該当するようだ
12月31日までに税務情報を提供等した場合には、一旦源泉徴収された源泉徴収の払戻が行われる仕組みになっているため、上記のような解釈により外税控除が受けられない可能性があるということのようです。
結果的に還付が受けられなくなったのであれば、外税控除の対象としてよという感じはしますが、関係する人は注意しましょう。