雇用調整助成金を独立掲記する場合の表示区分は何が主流?
雇用調整助成金に限らず助成金収入については、営業外収益で計上されていることが多い考えていましたが、経営財務3526号に「新型コロナで財表上の雇用調整助成金の重要性高まる」という記事で、日本基準を適用している2021年3月決算会社の雇用調整助成金の土地扱いまとめた結果が掲載されていました。
新型コロナ特例に係る雇用調整助成金は、10月5日時点で4兆円を超えた金額が支給決定されているとのことで、その他の助成金と比べて金額が多額になるケースもあり、特別利益で計上している会社も相当数あるという結果となっています。
もっとも、「通常であれば、人件費の補填という性質上、雇用調整助成金が多額になることは考えにくく、こうした助成金による収入は、会計処理の過去からの慣行として、営業外収益に計上するケースが多いようだ」とされており、営業外収益計上が一般的という認識に間違いはありませんでした。
連結損益計算書の表示傾向として、新型コロナ特例に係る雇用助成金を区分契機した会社は225社でこのうち186社が営業外収益、48社が特別利益として計上していたとのことです。
「その他」あるいは「助成金」等の科目で表示した会社は63社あったはとされ、このうち42社は特別利益、23社は営業外収益で計上していたとされています。他の科目による表示では特別利益として計上している会社の方が多くなるというのは興味深い傾向です。
また、少数派といえますが、対応する費目で相殺表示している会社が19社あったとされ、売上原価から控除が9社、販売費及び一般管理費から控除が16社、特別損失から控除が3社あったとされています。合計が19社を超えるのは1社が複数該当するケースがあるためです。対応する科目から控除するのであれば、売上原価・販管費双方が発生することが多いのかなという感じがしますが、上記の結果からすると販管部門だけが対象というケースの方が多いということのようです。
このような相殺表示処理していた会社の一社として事例が紹介されていたのが、オリエンタルランドでした。オリエンタルランドの連結PL注記では以下の様に開示されています。
※3 雇用調整助成金
当社グループは,新型コロナウイルス感染症流行の影響に伴い臨時休業を実施したこと等により、支給した休業手当等について雇用調整助成金の特例措置の適用を受けております。これに伴い、前連結会計年度は雇用調整助成金の受給見込額を特別損失から控除し、当連結会計年度は雇用調整助成金の既受給額及び受給見込額を売上原価から7,987百万円、販売費及び一般管理費から1,212百万円、特別損失から13,109百万円控除しております。
ちなみに上記でいう「特別損失」の連結PLの表示科目は「臨時休園による損失」(12,965百万円)となっていました。
どの表示方法においても監査意見がでているので、どれでなければならないということはないですが、件数からみれば営業外収益で計上するのが主流ということのようです。