内部統制報告制度強化等は先送り
そもそもそんな議論がなされていたことすら把握していませんでしたが、金融庁の「会計監査の在り方の関する懇談会(令和3事業年度)」において、「内部統制報告制度の規制強化」と「有価証券報告書の財務諸表に(対する)監査役等による報告書の導入」が論点となっていたそうです。
結論としてはタイトルにあるとおり、事実上先送りとなったようです(T&A master NO.907「内部統制報告制度強化等は事実上先送り」)。
懇談会が11月12日に公表した「論点整理」において、「内部統制報告制の規制強化」については、➀内部統制の整備・運用状況について分析を行った上で、国際的な内部統制・リスクマネジメントの議論の進展も踏まえながら、②必要に応じて、内部統制の実効性向上に向けた議論を進めるとのステップが示されたとのことです。T&A masterの記事では「➀だけでもかなりの時間を要することが見込まれる上、その分析に結果を受け「必要」と判断されて初めて議論の俎上に載るということを考えると、事実上、本論点は先送りになったと言えそうだ」と述べられています。
内部統制は重要だとは思いますが、より要求水準が高くなると、会社の側からすると本音としては価値を感じない無駄な作業が増えてしまうような気がします。
また、「有価証券報告書の財務諸表に(対する)監査役等による報告書の導入」についても、「有価証券報告書に監査役等による報告書を求めることを通じた財務報告に係るガバナンスに対する監査役等の責任の明確化などについても、中長期的に検討されるべき」とされるにとどまっており、上記の記事では「短期的な制度化はないだろう」と述べられています。
どの程度の内容を要求するのかにもよりますが、仮にこれが実現したとすると、監査役の候補者を探すのがかなり大変になることが予想されます。また、監査役の作業を補助する補助者も(追加で)かなり必要となることが予想されますので、こちらも導入のハードルはかなり高いように感じます。
個人的にはこのまま忘れ去れてしまうことを願います。