2021年IPOは124社-3月決算の割合が比較的少ないのは偶然か
例年よりも集計等が遅れましたが、2021年のIPOの状況を確認してみました。
東証に2021年に新規上場したのは124社で、このうち3月に上場した株式会社丸順は名古屋証券取引所での既上場銘柄です。この他、2021年は外国株2社が上場しています。
1.市場別
あと数ヶ月で市場が再編されますが、2021年のIPOを市場別に集計してみると以下のとおりとなっていました。
マザーズ:93社(うち2社は外国株)
JQスタンダード:16社
市場第2部:9社
市場第1部:6社
新興市場のIPO件数が多いというのは、昨年までの傾向と特段変化はありません。なお、2021年に東証1部に直接上場した6社は以下のとおりです。
➀ウイングアーク1st(株)
②(株)紀文食品
③テスホールディングス(株)
④シンプレクス・ホールディングス(株)
⑤PHCホールディングス(株)
⑥(株)ネットプロテクションズホールディングス
なお、上記のうち紀文食品とテスホールディングスは日本基準、それ以外の4社はIFRSの任意適用会社となっています。
2.監査法人別
監査法人別にみるとEY新日本が33社と最多となっており、これにあずさ19社、トーマツ18社、太陽18社と続いています。大手3法人に加え、太陽の件数がこれに並ぶ水準になってきています。太陽は合併の影響などもあると思いますが、大手3社以外の受け皿としてよいポジションを築きつつあるようです。
年間で10社を超えているのは上記4法人のみですが、これ以外で2社以上の実績があったのは以下のとおりです。
PwC京都:8社
仰星:6社
東陽:6社
PwCあらた:4社
A&A:2社
三優:2社
2021年はIPOの社数が多くなったとはいえ、仰星、東陽といった準大手が各6社という実績となったあたりに、大手以外の選択肢が広がっていることが伺えます。
なお、実績が1社の監査法人は、アヴァンティア、ひびき、千葉第一、東海会計社、東邦、如水がありました(外国株はKPMGとE&Y)。
3.会計基準別、連単別
外国株式を除く122社について、適用している会計基準でみると、IFRSが10社、日本基準が112社となっています。
また、連結財務諸表を作成しているか否かでみると、単体63社、連結ありが61社概ね半々となっています。なお、連結の有無は直前期を基準に集計しています。
4.決算月別
従来この切り口で集計したことはありませんでしたが、なんとなく3月決算会社以外が目についたので、決算月別に社数を集計してみたところ以下のような結果となりました。
3月決算:44社
12月決算:23社
9月決算:14社
6月決算:8社
7月決算:8社
8月決算:7社
5月決算:5社
2月決算:5社
10月決算:4社
11月決算:3社
1月決算:3社
3月決算に次いで12月決算が多いというのは、一般的な傾向どおりではあるものの、上場企業の6割位が3月決算会社であることを踏まえると、3月決算会社の数が少ないように見えます。意図的に3月決算、12月決算以外を選択する傾向がでてきているのかどうかについては現時点ではなんともいえませんが、2022年以降の傾向にも注目です。