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2021年10社で限定付適正意見が表明

2021年監査報告書で上場会社10社で限定付適正意見が表明されたとのことです(経営財務3540号「限定付適正意見、2021年の監査報告書で上場10社に表明)。

経営財務誌の調査によると、限定付適正意見が表明されたのは以下の10社とされています。

➀ウェッジホールディングス(JQ,2021年9月期連結)
②ハイアス・アンド・カンパニー(東マ,2021年9月期連結・個別)
③OKK(東一,2021年3月期連結・個別)
④ラサ商事(東一,2021年3月期連結)
⑤ユニデンホールディングス(東一,2021年3月期連結)
⑥小倉クラッチ(JQ,2021年3月期連結)
⑦サクサホールディングス(東一,2021年3月期連結)
⑧ネットワンシステムズ(東一,2021年3月期連結・個別)
⑨理研ビタミン(東一,2021年3月期連結・個別)
⑩インパクトホールディングス(東マ,2020年12月期連結・個別)

個人的には、社名を見て会計上の問題が生じていたと記憶している会社が半分くらいといったところです。

各社監査法人を確認してみたところ以下のとおりとなっていました。
➀アリア
②アリア
③EY新日本
④八重洲
⑤アリア
⑥あずさ
⑦EY新日本
⑧トーマツ
⑨あずさ
⑩アリア

また、それぞれ限定付適正意見が表明された理由について主なポイントを監査報告書から抜粋すると以下のとおりです。あくまで個人的にポイントと考えられる部分を抜粋したものですので、興味のある方は全文を確認して頂くことをおすすめします。

➀前連結会計年度の会計監査において、重要な構成単位であるGLの連結財務情報について、GL構成単位監査人にグループ監査に基づく監査及びレビュー業務を依頼したが、J Trust Asia Pte. Ltd.を原告とするシンガポール共和国での損害賠償請求訴訟事件の敗訴に関連してGL構成単位監査人のグループ監査が終了せず、計画した監査手続を完了することができなかったため、当監査法人は、前連結会計年度の連結財務諸表について意見不表明とした。
監査範囲の制約の影響について金額的重要性はあるがGL持分法投資等の特定の勘定に限定されるもので広範ではないと判断できたことから、当連結会計年度の連結財務諸表について限定付適正意見を表明することとした。

②前連結会計年度の途中まで、前任監査人の意見不表明の原因となった経営者が職務を執行していたため、経営者の誠実性に関する質的に重要性のある監査上の制約が存在したと考えられるが、経営者の交代により当該制約の解消が図られており、かつ、経営の信頼を回復するための経営体制やガバナンスの改革も進めており、現時点では、前連結会計年度の連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要かつ広範ではなくなったと判断している。また、第三者委員会の調査や前任監査人の監査での検討結果を踏まえて、当監査法人で実施した追加的手続の結果、前期期首残高を含めた連結財務諸表について重要な虚偽表示が発見されなかった。
 当監査法人は、これら検討の結果、前期期首残高を含めた前連結会計年度の連結財務諸表について、上記の制約に関連する未発見の虚偽表示の影響の広範性はないと判断できたが、前連結会計年度の数値と対応数値に影響を及ぼす可能性があるため、前連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明することとした。当該事項は、当連結会計年度の数値と対応数値との比較可能性にも影響を及ぼす可能性があるため、当連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付意見を表明することとした。
 
③会社は、過去からの誤謬及びその後の担当者の原価振替等による不適切な処理の全体を把握・復元できないとして、実地棚卸に基づく材料費と仕掛中製番に紐づく加工費等を合算する方法により連結会計年度末日現在のOKK株式会社の仕掛品残高を改めて算定している。ただし、会社は、時の経過に伴い社内規程に従い加工費等に関する過年度の証憑を破棄しているため、当監査法人は、前連結会計年度末のOKK株式会社の仕掛品の評価について裏付けとなる十分な記録及び資料を会社から入手することができなかった。このため、前連結会計年度末における仕掛品3,293百万円の評価について、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。この影響は、前連結会計年度の仕掛品、売上原価等及び当連結会計年度の売上原価等の特定の勘定科目に限定され、他の勘定科目には影響を及ぼさないことから、連結財務諸表全体に及ぼす影響は限定的である。したがって、連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。

④当監査法人は、持分法適用会社について、前連結会計年度末の棚卸資産の実地棚卸に立ち会うことができず、また、代替手続によって当該棚卸資産の数量を検証することができなかった。そのため、前連結会計年度末の持分法適用会社に係る投資有価証券(2020年3月31日現在 2,115百万円)の評価の妥当性について、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。
したがって、当監査法人は、この金額に修正が必要となるかどうかについて判断することができなかった。この影響は前連結会計年度及び当連結会計年度の投資有価証券及び持分法投資損益等の特定の勘定科目に限定され、他の勘定科目には影響を及ぼさないことから、連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。

⑤追加情報(連結子会社Uniden America Corporationでの未払Chargebackの見積計上について)に記載のとおり、会社は、米国連結子会社Uniden America Corporation(以下「UAC」)において前連結会計年度の期首(2019年3月期)に計上すべき未払Chargebackが概算で124百万円程度不足していると試算したが、UACでは関連証憑の保管不備等が生じており、遡っての検証が困難であることなどから、前連結会計年度の期首(2019年3月期)の数値に反映できていない。当監査法人は、当該事項について検討したものの、上記の制約が生じている上、当時のUAC監査人の監査協力も得ることができず、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。当監査法人は、上記がUACの売上高、売掛金、未払費用等の特定の勘定科目に限定されるもので、前連結会計年度の連結財務諸表全体に及ぼす影響が限定的であり、前連結会計年度の連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではないと判断したため、前連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明したが、当該事項は、当連結会計年度の数値と対応数値の比較可能性に影響を及ぼす可能性もあるため、当連結会計年度の連結財務諸表に対しても限定付適正意見を表明することにした。

⑥当連結会計年度において連結財務諸表を構成する連結子会社である小倉離合機(東莞)有限公司の売上原価は5,960百万円、小倉離合機(長興)有限公司の売上原価は1,823百万円であり、これらは合計して連結損益計算書の売上原価の26.8%を占めている。
これらの連結子会社において、過年度より実地棚卸及び原価計算が適切に実施されていなかったこと等の理由により、当監査法人は、前連結会計年度の連結貸借対照表に計上されていた商品及び製品617百万円、仕掛品319百万円、原材料及び貯蔵品814百万円の実在性及び正確性について十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。このため、当連結会計年度におけるこれらの資産の期首残高について十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。また、これらの連結子会社においては、当連結会計年度の期中において原価計算が適切に実施されていなかった。こうした理由により、当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている売上原価7,783百万円について、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。
このため、当監査法人は、当連結会計年度の連結損益計算書に計上されている売上原価の金額に関して、修正が必要となるかどうかについて判断することができなかった。
この影響は、特定の勘定科目に限定されており、当該影響を除外すれば、連結財務諸表は、小倉クラッチ株式会社及び連結子会社の2021年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示している。したがって、連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。

⑦連結会計年度の連結財務諸表に対する監査における重要な拠点の見直しにより重要な拠点となった連結子会社については、前連結会計年度の期首の棚卸資産の実地棚卸に立ち会うことができず、また、代替手続によって当該棚卸資産の数量を検証することができなかった。この結果、前連結会計年度の売上原価等に修正が必要かどうかについて判断することができなかったため、前連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明している。当該事項が当連結会計年度の連結財務諸表と比較情報である前連結会計年度の連結財務諸表の比較可能性に影響を及ぼす可能性があるため、当連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明している。この影響は前連結会計年度の売上原価等の特定の勘定科目に限定され、他の勘定科目には影響を及ぼさないことから、前連結会計年度の連結財務諸表全体に及ぼす影響は限定的である。したがって、連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。

⑧前連結会計年度の連結財務諸表に修正が必要かどうか判断することができず、前連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明している。当該事項が当連結会計年度の数値と対応数値の比較可能性に影響を及ぼす可能性があるため、当連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明している。この影響は、前連結会計年度の連結財務諸表の売上原価147百万円である。したがって、連結財務諸表に及ぼす影響は重要であるが広範ではない。

⑨連結子会社である青島福生食品有限公司において実在性が確認できなかった特定の顧客向けのエビ加工販売等の取引に係る売上高を取り消し、既入金額を仮受金として計上するとともに、取り消した売上に対応する売上原価(特定の仕入先からの仕入高を含む)を、特別損失の水産加工品取引関連損失として計上している。当監査法人は、当該売上の計上及び取り消し処理について裏付けとなる十分な記録及び資料を会社から入手することができなかったため、当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている仮受金14,296百万円及び、連結損益計算書に計上されている水産加工品取引関連損失1,596百万円並びに、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている仮受金の受取額1,729百万円及び水産加工品取引関連損失に係る支払額2,026百万円の正確性について、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。
 また、会社は、当連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、青島福生食品有限公司において過年度より滞留していたたな卸資産に係る評価損を売上原価として計上している。当監査法人は、当該たな卸資産の評価について裏付けとなる十分な記録及び資料を会社から入手することができなかったため、当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている青島福生食品有限公司の商品及び製品259百万円、原材料及び貯蔵品768百万円の評価損、及び連結損益計算書に計上されている売上原価に含まれる青島福生食品有限公司のたな卸資産評価損710百万円の計上額並びに、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されているたな卸資産の増減額2,672百万円の正確性について、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。
 同様の理由により、当監査法人は、当連結会計年度の連結財務諸表において比較情報として表示されている前連結会計年度に係る財務情報のうち、青島福生食品有限公司において計上されている仮受金12,348百万円、支払手形及び買掛金437百万円、水産加工品取引関連損失12,050百万円、仮受金の受取額11,747百万円、水産加工品取引関連損失に係る支払額10,904百万円、商品及び製品1,171百万円、原材料及び貯蔵品2,595百万円、たな卸資産評価損1,087百万円、たな卸資産の増減額△1,084百万円が比較情報に関して要求される事項に準拠して表示されているかどうかについて、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。
 上記の結果、当監査法人は、当連結会計年度の連結貸借対照表及びその比較情報に計上されているこれらの勘定残高及び、当連結会計年度の連結損益計算書及びその比較情報に計上されている費用及び損失並びに、当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書及びその比較情報に計上されている営業活動によるキャッシュ・フローの金額に関して、修正が必要となるかどうかについて判断することができなかった。
 これらの影響は、特定の勘定科目に限定されており、当該影響を除外すれば、連結財務諸表は、理研ビタミン株式会社及び連結子会社の2021年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示している。したがって、連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。
 
⑩前事業年度の監査において、投融資先の財務情報について追加的な手続きを実施したものの、CDELグループでは、上記投融資先の財務情報の提供に制限を加えており、これら重要な投融資に関する投融資先の財務情報について十分かつ適切な監査証拠を入手できなかったが、この影響はインド投融資に限定され、広範ではないと判断できたため、前事業年度の財務諸表に限定付適正意見を表明した。

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